東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で緊急事態宣言が再発令されました。依然として猛威をふるう新型コロナウイルスを前に、中小企業はただ立ちすくむしかないのでしょうか。経営者として、危機的状況化だからこそ取るべき行動をみていきます。※本連載では、企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏が、中小企業が経営難を乗り切る方法を解説していきます。

「企業としての強み」を徹底的に伸ばす

資金繰りを確保した後は、新年にふさわしく黒字の絵を描きませんか? どうやって考えればよいのか見当がつかないという経営者にはSWOT分析をおすすめします。マーケティングで環境分析に分類されるもので、自社の強み・弱み、外部の機会・脅威から自社のおかれている環境の分析が可能です(図表1)

 

この分析結果を見て、論理的に今後の方針を決めていくことができます。多くの中小企業経営者がSWOT分析という言葉は知らずとも、無意識に行っている分析かもしれません。難しく考えず、戦略を整理するための道具だと思ってください。コロナ禍でのすべての中小企業に適用できると思います。

 

まずは自社の強みと自社の弱みを一言で表してください。強みは、この点ならば他社には絶対負けない、自信があるというのがベターです。

 

[図表1]SWOT分析例

 

 

外部の機会は、チャンス到来と考えてください。現時点で確実にチャンスと言えるのは事業再構築補助金です。詳細な説明は割愛いたしますが、新型コロナにより旧来のビジネスモデルが通用しなくなった企業に対し、新しい事業を行うのであれば最大1億円補助しますというものです。壊滅的な状況下、中小企業にとっては唯一の光だと思っています。

 

外部の脅威は新型コロナです。各々の企業で別の脅威もあるかもしれませんが、一部の企業を除いて共通の脅威は新型コロナです。

 

ここまでで自社の強み・弱み、機会・脅威が整理できました。ではどのように方針を考えればよいでしょうか。平時であれば、「弱みを解決し機会を活かす」という方針も良いですが、新型コロナで壊滅的な影響を受けている状況下では通用しません。今考えるべきは、「自社の強みを伸ばす・転用し機会を活かす」の一択です。これこそが、事業再構築補助金が求めていることです。おそらく、多くのケースが以下のいずれかに該当するはずです。

 

・売り方を変える(直販から代理店販売もしくはその逆、チラシからネット広告など)

・売る物を変える(新商品、サービスへの転換もしくは追加)

・売り場を変える(店舗からEC販売、デリバリーへ等)

正直なところ大した強みがない…どうする?

残念ながら「この点ならば他社に絶対負けない」と言えるほどの強みがない企業は、上の方針でも黒字のイメージが持てないでしょう。その場合は小さな強みを2つ選んでください。小さな強み2つを両方活かせる領域を必死に探してください。

 

小さな強みが1つしかない場合は、商品・サービスを強みが増すまで絞り切る、もしくは商圏を絞り切りましょう。このケースでは事業再構築補助金の対象経費が少ないかもしれませんが、黒字化が目的で補助金は手段ですから気にする必要はありません。いわば縮小均衡策です。

 

過大な負債を抱える経営者は「縮小均衡では100年かかっても完済できないではないか?」と思うかもしれません。おそらくその通り完済できないでしょう。

 

しかし小さいながらも確実に黒字を出している企業は、いくら負債があろうともつぶれません、つぶされません。逆に過大な負債のために無理に大きな商いをすることは破綻を加速させることになります。縮小均衡でも構いません、黒字化を最優先に方針を考えましょう。

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