後継者がいない、将来、事業を維持できるか不安…。このような悩みを抱えている経営者が増えています。大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択肢として考えられるのがM&Aです。しかし、日本ではM&Aについてマイナスイメージをもつ人が多く、M&Aの本来の意義や内容が十分に浸透しているとはいえません。今回は、篠田康人氏の著書『まんがでわかる 実録!中小企業のM&A』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、M&A成功の秘訣を解説します。

M&Aの進行プロセス⑤:基本合意契約の締結

基本合意契約とは、これまでの交渉で定めた事項を互いに確認しM&Aを前進させるための契約です。譲渡価格やそのほかの譲渡条件もこの段階でいったん定めます。

 

基本合意契約締結後は、買収監査に進みます。買収監査は「デューデリジェンス(略してDD)」とも呼ばれるもので、買い手企業が、売り手企業について、財務、法務、労務、ビジネスなどの観点から、それぞれの専門家(財務なら税理士、法務なら弁護士など)を交えて、詳細にチェックをするプロセスです。

 

基本合意契約では出てこなかった論点が、買収監査の時点で見つかることはよくあります。例えば、財務監査により、簿外債務が見つかるといったことです。そうなった場合には、それを含めて譲渡価格を再設定することもあれば(第1話に出てきた「株価の算定が高い」という話はその例です)、M&A自体が中止になることもあります。

M&Aの進行プロセス⑥:最終合意契約の締結

買収監査を経て条件を調整し、最終的に合意できれば最終合意契約を締結します。あとは株式の登記を変更したり、売買代金を受け渡したりして、M&Aのプロセスは終了です。通常は、このあとで、従業員などの関係者にM&Aがなされた事実を発表します。

 

これでとりあえず一段落ですが、このあとには新しい経営者のもとで会社の運営が続きます。従業員や取引先にも不安を感じる部分がありますので、前社長は、円滑な新体制への移行と滞りのない事業続行のために、顧問や相談役などの形で、半年から1年程度、会社に残って協力をすることが普通です。このようなM&A成立後の、スムーズな経営移行の取り組みをPMI(Post Merger Integration)といい、M&Aそのものと並んで重要なプロセスです。

株式の集中はM&Aに欠かせない大切な準備

【この記事のマンガを読む】に示されているように、北川夫人は、M&Aアドバイザーから親族に分散している株を集めるようにアドバイスされていました。株式譲渡の方法でM&Aを進める際には、発行済み株式数の100%を譲渡することが原則です)。

 

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まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

篠田 康人

幻冬舎メディアコンサルティング

「後継者がいない」 「事業再生しないと生き残っていけない」 「将来、事業を維持できるか不安」 このような悩みを抱えている経営者が増えています。 大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択…

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