相続税は、遺族の結束によって節税が可能な税金です。しかし、いざ相続となったときにそれぞれの勝手な思惑がぶつかったり、外野が口を挟んだり・・・と、揉め事の原因は尽きません。*本記事は廣田龍介税理士の著作『相続財産を3代先まで残す方法』から一部を抜粋、再編集したものです。

トラブルになれば、資産の多くが税金に消えていく

想像しづらいかもしれませんが、実際、自分がその立場になった時、潔く相続放棄の印鑑を押すことには、おいそれと納得できず「もらえるものならもらいたい」というのが本音といったところではないでしょうか。

 

さらに最近では、高齢の相続人に代わって、その子どもが話し合いに参加してややこしくなることもあり、高齢化の煽りがここにも現れていることがわかります。また、相続人の配偶者や友人、知人などの外野席が絡んできた時などは、一層争いになりやすいものです。

 

100万円ほどのタンス預金の存在を隠していたことが発端となり、兄弟がその後、一生涯口を利かなかったという例もあります。そんなことがトラブルの種になってしまうということです。

 

このように、相続では資産が多い少ないにかかわらず、それぞれの思惑が交錯するせいで、納得がいかなかったり、解決しても火種が残ったりして、大なり小なりもめてしまうのです。

 

普段から家族と親密な付き合いをして、一家の主が取りまとめられるような「絆」があればもめることもないでしょうが、そうでない場合は、最悪権利ばかりが主張されるドライな話となり、節税などする余地もなく、資産の多くは税金として消えていきます。

 

どこに火種が潜んでいるかは家族ごとに違うと思いますので、正直いってわかりません。

 

そのような現代で相続争いを防ぐ一番の有効手段を考えると、やはり遺言書です。遺言書を作っておくことでトラブルや争いのない相続の実現が見えてきます。

 

親として自分の子どもたちがもめないように資産を引き渡すことは、人生の最後にして最大の仕事かもしれません。そして、せっかく自分が苦労して築き上げた資産ですから、価値が高いまま渡すことも考えてください。そのために、遺言書を大いに有効活用してほしいと思います。

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本記事は、2013年8月2日刊行の書籍『相続財産を3代先まで残す方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続財産を3代先まで残す方法

相続財産を3代先まで残す方法

廣田 龍介

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化による老々相続、各々の権利主張、そして重い税負担…。 現代の相続には様々な問題が横たわり、その中で、骨肉の争いで泥沼にハマっていく一族もあれば、全員で一致団結して知恵を出し合い、先祖代々の資産を守っていく…

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