本記事は『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますのであらかじめご了承ください。

配偶者の特別控除を利用して自宅を妻に贈与しておく

事業には運不運がつきものです。経営手腕にかかわらず、苦境に陥り大きな借金を背負ってしまうことは珍しくありません。しかも、《トラブル事例》のように「家族に心配をかけたくない」と、事業で大きな借金を抱えながらも隠しているケースが意外に多いのです。

 

返済するあてがあればよいのですが、後継者がおらず返済計画に少しでも無理がある中で健康に問題を感じたりすると、家族がどうなってしまうのか不安が募ります。そういったケースで検討したいのが「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」という特例です。

 

通常、住まいを家族に譲ろうとすると贈与税がかかります。地価の高い住まいなら大きな額になりますから、お金があってもなかなか決断できないでしょう。ところがこの特例を使うと、2000万円までの範囲なら無税で渡すことができるのです。さらに、年間の贈与税の非課税枠110万円を加算すると2110万円をいっきに贈与することが可能です。

 

適用されるためには以下のような条件があります。

 

●結婚期間が20年を過ぎていること

●贈与されるのは居住用不動産または居住用不動産を取得するための資金であること

●贈与された年の翌年3月15日までにその不動産に住んでいて、その後も住む予定であること

※詳しくは国税庁HP「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」をご覧ください

 

なおこの特例は、同じ配偶者からの贈与の場合、一生に一度しか使うことができません。

 

生前贈与によって住まいを妻の名義にしておけば、いざという時に妻が住まいを失うことはありません。また、被相続人が亡くなる前の3年間の贈与は相続時に戻されて計算されますが、この贈与の適用は戻されることはないので、配偶者にとってはとてもよい制度です。

 

ただし、ここでの話は社長が破産してしまうような状況ではなく、個人の財産で十分返済できる範囲の借入のことです。大きな借金がある状態で住まいを贈与すると、贈与の状況によっては債権者を害する行為(詐害行為)として、贈与が取り消される恐れがありますので、実行前には弁護士や税理士などの専門家に相談するのがよいでしょう。

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妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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