「エスプレッソ=小さなカップで飲む、味の濃いコーヒー」と思っている人は多いでしょう。しかしエスプレッソは、通常のドリップコーヒーとは似て非なるもの。違いを知ると、もっと楽しめるようになります。今回はエスプレッソに対してよく疑問にあがる「なぜあんなにも少量で、味が濃いのか」を紐解いていきます。

「水深90m」と同じ気圧による抽出で旨味を凝縮

コーヒーとエスプレッソでは何よりも抽出する気圧が違います。深掘りしましょう。

 

コーヒーは前述のように大気圧、平地では1気圧でお湯がコーヒー豆を挽いた粉の隙間を通ります。するとコーヒーの粉にお湯が浸透し、粉と粉の間をお湯が通ることでコーヒーのエキスが引き出されます。コーヒーとは圧力を掛けて抽出したものではなく、地球の重力によるお湯の流れで抽出されたものなのです。

 

エスプレッソは、金属フィルターにコーヒーの粉が押し詰められたところに、9気圧の水圧で強制的にお湯を浸透させて、浸透したコーヒービスケットにさらに9気圧の水圧をかけて、ビスケットの内部をほぼ完全に通過・抽出したものなのです。この高い水圧のおかげでエスプレッソは25〜30秒という短時間で淹れられるのです。

 

エスプレッソマシンはシューッと蒸気を出す音を常に立てていますから、エスプレッソは蒸気圧で出す濃いコーヒーと思われがちです。確かにマシンはミルクを温めるために蒸気を使いますし、エスプレッソを抽出するハンドル部分を外して空ぶかしすると蒸気が出ますが、正しくは蒸気圧ではなく非常に高い水圧による抽出液がエスプレッソなのです。

 

9気圧と聞いても、どれくらいの圧力なのか、イメージしにくいですよね。たとえば、栓を緩めると「ポン!」という音がして抜けるシャンパーニュのボトル内が5〜6気圧。それよりエスプレッソの方が高い気圧をかけているのです。

 

水深が10m深くなるごとに1気圧上がります。ダイバーズウォッチなどで10気圧防水とうたっているものは、水深100mまで耐えられるということ。9気圧というのは深さ90mまで潜ったときの気圧ですから、かなりのものです。

 

本記事では便宜上、エスプレッソのプレッシャーを気圧という言葉で表現しています。エスプレッソを解説した文献やサイトでも気圧という言葉を使っていますが、これは正確な表現ではありません。エスプレッソマシンでコーヒーの粉に加わっているプレッシャーは空気圧(気圧)ではなく、正しくはお湯の水圧なのです。

 

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※本記事は、齊藤正二郎氏の著書『エスプレッソからはじめよう』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

エスプレッソからはじめよう

エスプレッソからはじめよう

齊藤 正二郎

幻冬舎メディアコンサルティング

本物のエスプレッソは工場では決して作れない! エスプレッソの起源、エスプレッソマシンの匠の技、エスプレッソの健康効果など、魅惑の飲み物エスプレッソについてエッセイでお届けします。

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