日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点を当てるのは「定年後の生活」。65歳で現役を引退し、公的年金を頼りにした老後の生活……実際、どのような暮らしだと思いますか?

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高齢者世帯…公的年金だけでは毎月赤字になる

高齢者世帯のほうが支出が増える項目はほかにもあります。まず医薬品や健康保持用摂取品を含む「保険医療費」。年間支出額は19万2514円で、世帯平均を2万4000円強上回っています。そのうち「医療診療代」は5万5234円で1万2000円近く、「医薬品」は3万8238円で7000円近く、世帯平均を上回っています。日々病院に通い、薬も手放せない……高齢者の実態です。

 

また「介護費用」は1万2605円で、世帯平均を5788円ほど超えています。やはり高齢者世帯、介護問題はより身近になっているようです。

 

そんな高齢者世帯の「実収入」は、世帯主が無職の場合、月額24万5374円。そのうち「公的年金」は20万2746円。65歳以上でも毎月4万円ほど、年金以外の収入を得ています。

 

また今もなお「住宅ローンを払っている世帯」は2.8%。50世帯に1世帯は、年金暮らしになってもなお、住宅ローンを払い続けています。

 

さらに黒字月額は-2万8472円。つまり1年で35万円、10年350万円、20年で700万円近い赤字になる計算。公的年金などでは支出はカバーできず、毎月、貯蓄を切り崩したりしてやり繰りしているのが、高齢者世帯の実態です。

 

日本銀行に事務局を置く金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、「金融資産を保有していない」と回答した世帯は、全体の23.6%。実に5世帯に1世帯は貯蓄ゼロに等しい状態だといえます(図表3)

 

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」より作成
[図表3]金融資産の有無の推移 出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」より作成

 

*2017年までは、回答者が「保有している」と「保有していない」から選択。2018年からは、a.問1(b)で10(いずれも保有していない)を選択した世帯と、b.問1(b)で1(預貯金)のみを選択し、問2(a)で1(預貯金の合計残高)の「うち運用または将来の備え」がゼロないし無回答の世帯をそれぞれ「金融資産を保有していない世帯」(金融資産非保有世帯)としている

 

定年後、ひと月に3万円の赤字。「月3万円くらい、節約すればいいのでは」と思うかもしれませんが、せっかく40年近くも汗水流して働いた先の節約生活……少々辛いものがあります。定年後、悠々自適な暮らしを送るためにも、中長期的な視点での資産形成は必須です。

 

 

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