今、病院経営について悩みや不安を感じていない病院経営者の方はほとんどいないでしょう。地域医療構想など医療行政の長期的変化、診療報酬改定、医療技術の高度化への対応、足元での収益力低下、厳しさを増す人材不足・採用難、経営者自身の高齢化…。とりわけ後継者不在こそ病院経営者にとって最大の問題になるでしょう。今起きつつある「異変」を語ります。※本連載は、矢野好臣氏、余語光氏の共著『病院M&A』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

近い将来、病院も「親族“外”承継が王道」になる可能性

ちなみに、一般の事業会社においては病院以上に、親の事業を引き継がない子が増えています。そのため、中小企業においては近年、家族以外の者が事業を引き継ぐ親族外承継が過半数になっているというデータもあります(『中小企業白書』2017年版)。一般企業においては、事業は親族以外の者が引き継ぐことが珍しくないのです。

 

病院経営は、収入や社会的なステータスの面で一般の中小企業とは比較にならない高いレベルです。そのため、親族内承継が一般の中小企業より多い傾向があり、なお過半は親族内承継となっているようです。たとえば、病院においてすでに後継者が決まっている場合、その後継者は親族(子、配偶者、その他親族)が約65%、非親族が35%というデータがあります(※)

 

※ 「日医総研ワーキングペーパー 医業承継の現状と課題」日本医師会総合政策研究機構

 

しかし、後継者が決まっている病院でも、親族内承継は3分の2以下であり、後継者が決まっていない病院を含めれば、その割合はさらに減ることは間違いありません。

 

病院においても、いずれは一般企業と同様に、親族外承継の割合が過半となり、子は後を継がないことが常識になるのかもしれません。ただその場合、原則医療法人理事長は医師または歯科医師でなければならないため、承継者選びに多大な困難をもたらすことは容易に想像できます。後継者不在の増加が理事長の一番の悩みのタネとなっていくことは間違いありません。

 

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医師・看護師を守り地域医療を存続させる病院M&A

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余語 光

幻冬舎メディアコンサルティング

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