「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

認知症父激怒「俺をばい菌扱いする気か」

お着替え作戦大成功!

 

最近のじーじは、着替えるのを嫌がる。デイサービスから帰ってくると、今まで来ていた服の上にパジャマを着る。つまり、昼間着ていた洋服の上にパジャマを着るのだ。朝パジャマを脱げば、そのままお出かけ着になるわけなので、着替える手間が省けて楽ちんらしいが、これでは365日同じ服を着ていることになる。

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

以前、「昼間着ていたお洋服は脱いでからパジャマを着たら?」と言ったら、怒りん坊星人に変身し、どうにもこうにもならなくなったので、今は好きにさせている。

 

機嫌のよい時を見計らって、「いい男になるから着替えようね」と言っても、そう簡単に「うん」とは言わないし、「着替えろ、着替えろって、俺をばい菌扱いする気か」と怒り出す始末。今は冬だからまだいいが、夏になったら大変なことになる。

 

こうなったら、着替えてもらうチャンスはデイサービスでお風呂に入る時しかないと思い「デイサービスのお風呂の時に着替えようか」と言ったところ、「あのね、余計なことを言うようですが、デイサービスで着替えができるわけがないじゃぁ~あ~りませんか。あーたは、何もご存じないのですね。世の中のことをわかっておられませんな」と、出た!怒った時の敬語。

 

……ピカッとひらめいた!

 

じーじがお風呂に入っている間に脱いだ下着を洗濯済みの下着にすり替えてもらおう! 

 

しかし、じーじに下着を持たせたら、何を言い出すかわからない。これは、本人にバレないようにしなくてはならないのだ。

 

お着換え作戦決行の当日。お迎えの車にじーじが乗り込んだのを確認し、スタッフさんにこっそり下着を渡して第一関門突破! 帰りは、じーじが玄関に入るのを見届けてから、下着を受け取り作戦成功! 「気がついてらっしゃいませんでしたよ」とスタッフさん。

 

このお着換え作戦、どうやらデイサービスではよくあることらしい。日中、預かってくれて、お昼ごはんとおやつ付き。お風呂に入れてくれて、体調チェックもしてくれる。いろいろ気を遣ってくださるスタッフさんには、感謝しかない。在宅で介護をしている家族にとってはありがたい存在なのである。

 

どうか、新型コロナの影響で、一斉休業になりませんようにと祈るばかりなのである。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

黒川 玲子

海竜社

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