相続にまつわるトラブルは、「えっ、そんな小さいことで」ということで起こりがちです。原因のひとつが葬儀費用。故人を送る葬儀が、家族の仲を引き裂くことも珍しくないのです。編集部に届いた葬儀費用にまつわるトラブルについて、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の戸﨑貴之税理士が解説します。

寄付について知りたい→「寄付・遺贈寄付特集」を見る>>>

 

この大ゲンカが発端になったのかは分かりませんが、遺産分割も揉めに揉めたといいます。Aさんの遺産は、自宅とマンションが2室。そして現金が500万円ほど。自宅は母のD子さん、マンションは現金化し母が1/2、子どもたちが1/4ずつ、現金は葬儀代に……というのがBさんとD子さんの主張でしたが、Cさんが絶対に首を縦に振らなかったのです。

 

「最終的に現金500万円もD子さんが1/2、Bさん、Cさんで1/4ずつに分けて、葬儀代はすべてBさんで払ったと聞いてますよ。まあ、誰の肩ももつことはできませんけどね、葬儀の場であんな大ゲンカを繰り広げる家族じゃ」

解説:葬儀費用は相続の対象になるのか?

相続税法上の債務は、故人の死亡時の債務で確実なものであり、葬儀費用は債務ではありませんが、計算上は債務に準じて扱われます。

 

これは、葬儀費用が慣習化していることを鑑みているためです。

 

しかし、厳密には死後に発生するため、法的には相続の対象とはなりません。

 

そのため、葬儀費用を他の相続人に請求はできず、過去の裁判例でも、喪主自身が会場や葬儀内容を決めるため、その費用負担は当然という趣旨で、喪主が支払うという判決が下されました。

 

しかし、法律に明記されていないため、負担方法に違いがあります。

 

今回は、相続預金と同額の高額な葬儀費用がそもそも必要であったのか、周りの了承を得ず、喪主が一方的に進めたことでトラブルになっています。

 

葬儀費用や相続のトラブルを回避するには、相続人同士で事前協議を行い、遺族の相互理解を非常に重要となりますので、慎重に進めることが求められます。

 

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧