この大ゲンカが発端になったのかは分かりませんが、遺産分割も揉めに揉めたといいます。Aさんの遺産は、自宅とマンションが2室。そして現金が500万円ほど。自宅は母のD子さん、マンションは現金化し母が1/2、子どもたちが1/4ずつ、現金は葬儀代に……というのがBさんとD子さんの主張でしたが、Cさんが絶対に首を縦に振らなかったのです。
「最終的に現金500万円もD子さんが1/2、Bさん、Cさんで1/4ずつに分けて、葬儀代はすべてBさんで払ったと聞いてますよ。まあ、誰の肩ももつことはできませんけどね、葬儀の場であんな大ゲンカを繰り広げる家族じゃ」
解説:葬儀費用は相続の対象になるのか?
相続税法上の債務は、故人の死亡時の債務で確実なものであり、葬儀費用は債務ではありませんが、計算上は債務に準じて扱われます。
これは、葬儀費用が慣習化していることを鑑みているためです。
しかし、厳密には死後に発生するため、法的には相続の対象とはなりません。
そのため、葬儀費用を他の相続人に請求はできず、過去の裁判例でも、喪主自身が会場や葬儀内容を決めるため、その費用負担は当然という趣旨で、喪主が支払うという判決が下されました。
しかし、法律に明記されていないため、負担方法に違いがあります。
今回は、相続預金と同額の高額な葬儀費用がそもそも必要であったのか、周りの了承を得ず、喪主が一方的に進めたことでトラブルになっています。
葬儀費用や相続のトラブルを回避するには、相続人同士で事前協議を行い、遺族の相互理解を非常に重要となりますので、慎重に進めることが求められます。
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