もし親を老人ホームに入居させるとして、まず第一歩として何を理解しておけばいいのでしょうか。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が、親を老人ホームに入れようと思った時に「知っておきたい選び方、探し方」を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)から一部を抜粋、編集したものです。

需要と供給のバランスで事業者数を調整

老人ホームは公共工事と同じ?

 

老人ホームの急増を語る上で、きわめて重要な役割をはたしているのが介護保険制度であることは言うまでもありません。私は、この介護保険制度は以前から建設業界にあった公共工事という概念に似ていると考えています。

 

「老人ホーム」は社会資源であると言われています。道路や橋やトンネルも社会資源です。道路や橋がなぜ社会資源として必要なのでしょうか。第一義的な理由は、それがあると便利な社会になるからです。

 

新しい橋やトンネルができたおかげで、今まで1時間かかっていた学校までの所要時間が15分で行けるようになったなどという話は、昔はたくさんありました。しかし、厳密な費用対効果、つまり工事費用と、恩恵を受ける人の数と効果を考えた場合、必ずしもその投資に意味があったかどうかは定かではありません。

 

しかし、橋や道路やトンネルを国は造り続けてきました。その理由は第二義的な理由があったからだと私は考えています。それは、建設会社や土木会社が一定数存在し続けていなければならない、という事情です。

 

造った橋はいずれ修理や交換をしなければなりません。さらに、自然災害の多いわが国では定期的に土木工事や建設工事をしなければならない事態に陥ります。そして何より、そのときのために知識や技術を身に付けた職人がいなければ工事をすること自体できません。さらに言うと、職人を一定数養成していく上では一定の仕事量がなければ不可能です。だから、公共工事という名の仕事を国が用意していたのでしょう。

 

老人ホームも同じです。今後、一定数の老人ホームは、社会を運営していくにあたりどうしても必要になります。しかし、収益をある程度保証しなければ老人ホーム事業に参入する企業は増えていきません。そこで、介護保険制度を作り、事業者に対し一定の介護報酬を与え、事業の継続を可能にしたのだと思います。つまり、建設会社や土木会社と介護保険事業者、老人ホーム事業者はある意味まったく同じスキームで社会に存在していると私は考えています。

 

当然、今後、需要と供給のバランスで事業者数を調整する必要が出てくると思いますが、その場合は、介護保険報酬を上げたり下げたりしながら、事業者数を調整すれば解決します。

 

老人ホームは社会資源である。だから老人ホームに当たり前のように入居者が入居していく時代になっていくのです。

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親を老人ホームに入れようと思った時に読む本

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