要するに、米ドル/円は2019年後半以降、金利差とのかい離が、第一段階は米国株に連動し、そして第二段階は「Cash is King」の二段階に分けて起こっていた可能性があるのです。
この結果、他の通貨ペアに比べて金利差から大きくかい離した米ドル/円は、最近でも金利差から見てなお割高圏での推移が続いている可能性があり、そんな割高是正に伴う米ドル/円の下落リスクは2021年にかけて続く可能性があります。金利差を参考にすると100円を割り込むことがあるかもしれません。
ちなみに、かつて1米ドル=100円を超えた円高は「超円高」と呼ばれました。最初の「超円高」は、1993年に共和党から民主党へ政権交代となったなかで起こり、そして2度目の「超円高」も、同じく1999年からの共和党から民主党への政権交代のなかで起こりました。
2021年の米ドル/円は「超円高」の可能性がある
そんな過去のジンクス通りに、トランプ共和党からバイデン民主党への政権交代のなかで、為替相場としては改めて1米ドル=100円を超える円高、「超円高」が実現する可能性が出てきたということかもしれません。
金利差より米ドル/円が割高なら、割高是正の下落リスクはくすぶるでしょう。では、米ドル/円はどこまで下落したら「下がり過ぎ」となるのでしょうか。これまでの実績としては、米ドル/円と52週MA(移動平均線)との関係を見ると、下落局面では52週MAを10~15%下回ったところで一巡していました(図表7参照)。
以上をまとめると、金利差や株価の状況次第で、下落リスクが続く米ドル/円も、90~95円まで下落することがあれば「下がり過ぎ」懸念から反転する可能性が出てくるのだといえます。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長
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