老後資産「全部預金 vs. 資産を分散」驚くべきリスクの差を検証

日本人にはいまだ根強い「預金信仰」。しかし、インフレリスクの面から考えると、預金一辺倒にしておくのはお勧めできません。とくにサラリーマンは退職金を受け取ることで、ポートフォリオが一気に預金に偏ることになるため、注意が必要です。分散投資でどの程度リスク軽減できるのか、また、投資初心者の分散投資の選択肢について、元バンカーの経済評論家、塚崎公義氏が平易に解説します。

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老後資産の形成のポイントは「ハラハラしない」こと

老後資金を考える際に重要なのは「儲かったらリッチな老後が送れる」とワクワクすることではなく、「酷い目に遭ったらどうしよう」とハラハラしなくていいようにすることです。

 

儲けようと思えば、当然ですがリスクを覚悟する必要が出てきます。余裕資金のある人は、その範囲内でワクワクを目指しても構いませんが、余裕資金がない人が、必要資金を危険に晒すようなことをすべきではないでしょう。

 

…というと、筆者が株式投資等を否定的に考えているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。

 

預金はインフレで目減りするリスク資産ですから、老後資金を全額預金で持っているのは危険なことなのです。インフレに強い資産である株式や外貨も一部持つようにする方がむしろ安心なのです。

 

そのあたりのことは、拙稿『老後の資産形成「投資は危険、預金は安全」という大いなる誤解』『老後資産の形成「株の長期投資・米ドル保有」が有効な根本理由』をご参照いただければ幸いです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

「分散投資でリスクを減らす」は正しいが、注意点も

老後資産の全額を銀行預金で持っていると、インフレが来たときに目減りしてしまい、悲惨です。全額を株で持っていると、株価が暴落したときに悲惨です。全額を外貨で持っていると、ドル安円高になったときに悲惨です。

 

しかし、銀行預金と株と外貨をバランスよく持っていれば、本当に悲惨な目に遭うのは「インフレが来て預金が目減りし、株価が暴落し、しかもドル安円高になった場合」ですから、だいぶ安心です。そんなことは滅多に起こりそうもありませんから。

 

「インフレで預金が3割ほど目減りしてしまう」リスクについては、人によって考え方・感じ方が異なると思いますが、とりあえず5割の確率で起こると仮定しましょう。株価が3割以上暴落する確率は、そこまで高くなさそうですね。長期投資をすれば配当も受け取れますから、それも含めて考えれば3割の確率といったところでしょうか。3割以上のドル安円高になる確率も、3割程度としておきましょう。

 

3つが同時に起こって老後の生活レベルが3割下がってしまう確率は、3つを単純に掛け算すると0.5×0.3×0.3=0.045となり、20分の1以下となります。さらに重要なのは、株と外貨はインフレに強いという点です。

 

株価が暴落する確率が3割だということは、「インフレでないときに株価が暴落する確率は3割より高く、インフレのときに株価が暴落する確率は3割より低い」ということです。たとえば、インフレのときに株価が暴落する確率は2割としましょう。外貨についても同様に、インフレに強い資産ですから、インフレ時に外貨が暴落する確率は2割としましょう。

 

すると、3つが同時に起きる確率は2%にまで下がるのです。これなら安心ですね。よほど運が悪くない限り、預金か株か外貨のどれかひとつは生き残るわけですから。

 

余談ですが、「資産を分散すれば安心だ」とよく耳にしますが、必ずしも正しいとはいい切れません。似たような値動きをする株式を3銘柄持っていてもリスクは下がりません。筆者の知人に「わが社がライバルとの競争に負けて衰退しても大丈夫なように、自社株を買わずにライバル社の株を買っている」という人がいました。

 

自社株買いよりはるかに安全だと感心して見ていましたが、やはりダメでした。業界自体が構造不況業種になってしまったのです。分散投資でリスクを減らすためには、なるべく値動きがバラバラな資産を選ぶ必要がある、という教訓ですね。

 

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経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義氏の「人生100年時代」を生きる資産管理・資産形成術

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