今回は12月10日に公表された『令和3年度税制改正大綱』を解説していきます。※税制改正大綱は税制改正の素案となるものであり、おおむねこの通りの改正がされることがほとんどですが、100%確実ではありません。

withコロナ時代を見据えて変わること

■その他

 

①税務関係書類における押印義務の見直し

次に掲げる税務関係書類を除いて、税務関係書類の押印が必要なくなりました。さらに、この改正は令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用しますが、施工日前であっても実質的に押印を不要とするような柔軟な対応がされています。また、地方税についても同様の措置が取られます。

 

ⅰ)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類

 

ⅱ)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

 

②電子帳簿等保存制度の見直し

この改正項目については今回の改正で一番重要であると考えています。そのために改めて本件だけで一度まとめようと思いますが、取り急ぎ概要のみ下記に整理します。本件は基本的には令和4年1月1日から施行されます。

 

(電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係)

・承認制度を廃止します。

・実質的に訂正等履歴要件、相互関連性要件が廃止され、検索要件が緩和されます。

・「システム概要書等の書類備付」「一定の電子機器と説明書等の備付」「調査官がデータのダウンロードを求めた場合には応じる」の3つの要件のみでOKとなります。

 

(スキャナ保存関係)

・承認制度を廃止します。

・タイムスタンプ要件の付与期間が入力期間(最長約2月以内)と同様となります。

・受領者等がスキャナで読み取る際に行う国税関係書類への自署を不要とします。

・電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム、又は、訂正又は削除を行うことができないシステムであれば、タイムスタンプの付与が不要になります。

・適正事務処理要件(相互けん制、定期的な検査、再発防止策の社内規程整備等)が廃止され、検索要件が緩和されます。

 

(電子取引制度)

・タイムスタンプ要件の付与期間が最長約2月以内となります。

・検索要件が緩和されます。

 

③個人住民税の特別徴収税額通知について

給与所得に係る特別徴収税額通知について、eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する特別徴収義務者が申出をしたときは、市町村は、当該通知の内容をeLTAXにて当該特別徴収義務者に提供しなければならないこととなります。つまり、地方税共有納税システムを利用することによって、住民税特別徴収税額の納付手続きがペイジー又はダイレクト納付により効率的に行うことができるようになります。この改正は令和6年度分以後の個人住民税について適用します。

 

④土地に係る固定資産税の負担軽減措置

令和3年度については、3年に一度の固定資産税の評価替えの基準年度にあたるため、本来であれば適正な時価に見直しがされ、固定資産税が課税されることになります。しかし、コロナの影響を鑑みて、一定の宅地及び農地については令和3年度の課税標準を令和2年度の課税標準と同額とする措置が取られます。これにより令和3年度の固定資産税は日本全国でみると数百億円規模の減税になるようです。

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