経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

「高齢者向きアパート」を始めた理由

「高齢者向きアパート」とは、要介護認定を受け介護サービスを利用している人が主な入居者で、家主はその地域の介護事業者と連携し、一人暮らしをしたい入居者がいたら、その受け入れ先として提供する賃貸住宅だ。支援を受けているといっても、老人ホーム等で行われている手厚いケアを必要としない自立した生活が可能な高齢者が、一人暮らしをしたいと思っても、単身高齢者はNGというアパートが多い。そこに、隠れた需要が存在する。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

こんなコンセンプトの賃貸住宅を経営するきっかけとなったのは、懇親会のビンゴ大会で当たった一冊の本だった。その本は、前出の家主で介護事業にも精通していた赤尾宣幸さんが書いた『「小規模介護事業」の経営がわかる本』(セルバ出版)。中小企業庁が運営する「ミラサポ※」というサイトを利用して、著者の赤尾さんに25時間のコンサルティングを依頼し、介護業界の仕組みから物件の選び方まで、さまざまなことを教えてもらったという。

 

まず、入居者を確保するために、地域のケアマネージャーを訪問。ケアマネージャーとは、介護や支援を必要とする人が、介護保険制度を利用して自立した生活を送れるようサポートする仕事に従事する人たちだ。具体的には、高齢者一人ひとりにどんなサービスが必要か、そのニーズを把握してケアプランを作成し、適切なサービスを受けられるように自治体や各事業者に依頼する役割を担う。このケアマネージャーから、一人暮らしをしたい高齢者を紹介してもらえるよう関係づくりから始めたという。

 

福祉事務所のソーシャルワーカーや、市町村の地域包括支援センターなどを訪問したが、最初はなかなか理解してもらえなかった。「一人暮らしを希望している高齢者を紹介してほしい」と言いながら、肝心のアパートはまだ所有していなかったため、貧困ビジネスを狙った詐欺師ではないか、と怪しまれたりもした。

 

それでも諦めずに訪問を続けていたところ、80カ所を過ぎた頃から、少しずつ話に耳を傾けてくれる人が現れるようになり、118軒目に訪ねた障がい者の就労支援事業所の社長に「そういう住まいがあるのは頼もしい」と言ってもらえるほどになった。ここまで来るのにおよそ半年かかったが、その時は感激したという。実際に見込み客が集まり始めたところでアパートを探し始めた。

 

※ミラサポとは、公的機関の支援情報・支援施策(補助金・助成金など)の情報提供や、経営の悩みに対する先輩経営者や専門家との情報交換の場を提供する、中小企業・小規模事業者の未来を支援するサイト。

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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