ビジネスパーソンの必須スキルの1つ、「会計」。ビジネス上で必要な数字を活用することは、実は「決算書を読む」というスキルでほぼ全て得ることができるという。今回は「キャッシュ・フロー計算書(C/S)」をテーマに、会計クイズに挑戦してみよう。※本連載は、大手町のランダムウォーカー氏の著書『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

「1年分の料金」を事前に受け取るため、C/Sが黒字に

「上場って、儲かっている会社がするものではないか?」と思われる方もいるかもしれませんが、赤字の状態で上場する会社も少なくありません。

 

実際、今回取り上げたSansanは、営業利益ベースでは赤字上場でした。また、選択肢②の「スペースマーケット」もSansanと同じ2019年に上場していますが、営業損失が載っています。

 

Sansanは、多額の広告宣伝費をかけており(図表3)、シェア拡大のための先行投資が読み取れます(部下と取引先とのつながりを知らなかった上司が「それ、早く言ってよ~」と言うCMに聞き覚えのある方もいるのではないでしょうか)。

 

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[図表3]広告宣伝費の先行投資による赤字上場 (C)OTE_WALK 2020

 

選択肢①と②を見比べたときに「矢印の向き」で明らかに違いはあるのは、「営業活動から現金をどれだけ生み出したか」が表示される営業C/Fです(図表2)。

 

P/Lが赤字なら、C/Sも赤字になることが多い一方、この選択肢①は営業C/Fが上向きの青色矢印になっていて、プラスなのです。

 

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※図表2の再掲 (C)OTE_WALK 2020

 

これはSansanの料金回収のタイミングに理由があります(図表4)。企業向けが9割以上の売上を占めるSansanは、料金は1年分の前払いが基本となっています。

 

 

これは、実際にSansanの貸借対照表を見たとき、財務数値上どのように反映されるかというと、貸借対照表の流動負債に「前受金」という科目で表示されます(図表5)。

 

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[図表4]料金回収のタイミング (C)OTE_WALK 2020

 

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[図表5]Sansanの貸借対照表 (C)OTE_WALK 2020
会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方

会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方

著:大手町のランダムウォーカー

イラスト:わかる

KADOKAWA

決算書は最高にシビれる“謎解き”だ! クイズ×会話で、数字に隠されたビジネス戦略が見えてくる。   「入門書を何冊も買って読んでしまう」「何回読んでも、なんとなくしかわからない」。なぜ決算書は「難しい」と感じる…

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