「宝くじを買うことは愚かなのか?」経済評論家「保険と一緒」

不況の折であっても、宝くじの売り上げは好調です。シーズンごとの購入を楽しみにしている方も、きっと多いのではないでしょうか。ところで、これまでつぎ込んできたお金以上の当たりがあった方は、ご自分を含め、何人ぐらいいらっしゃいますか?…という話はさておき、じつは、宝くじを買うときのワクワク感と、思わず保険に加入したくなる将来への漠然とした不安感、それぞれの興味深い共通点があるのです。元バンカーの経済評論家・塚崎公義氏が解説します。

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宝くじを買うのは、確率的には「損なこと」だが…

宝くじは人気がありますね。現在売り出し中の年末ジャンボ宝くじも、売上は好調なようです。ところでなぜ、宝くじはこれほどまでに大人気なのでしょうか?

 

そもそも、宝くじを買うのは確率的に考えて損なことです。正確には「期待値がマイナスだ」といいますが、当たる確率と賞金額を掛け合わせた金額が、宝くじの値段より少ないのです。

 

そんなことは調べなくても、少し考えたらわかりますね。宝くじを買った客が払った代金から宝くじの印刷代等々の諸費用を差し引いた残額が、当選者に支払われるわけですから。

 

それでもなお宝くじに根強い人気があるのは、主に「錯覚」と「夢」が理由であると思われます。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

人間の脳も、眼と同様に「錯覚」を起こす

「眼の錯覚」とはどういうものか、皆さんはご存じですね。大きな皿と小さな皿に同じパンを載せると、パンの大きさが異なって見える、といった話です。それと同様の錯覚が脳でも生じるのです。

 

本稿が取り扱う錯覚は「非常に小さい確率は、実際より大きく感じる」というものです。飛行機に乗るのが怖い人は多いですが、その理由がこれですね。

 

以下、読者に3つの質問をしてみましょう。第1問。読者に確率100万分の1で命を落とす危険な仕事をお願いしたいのですが、何円払えば引き受けていただけますか?

 

第2問。読者は、確率10分の1(いいかえると100万分の10万)で命を落としかねない、危険な場所にいます。その読者に上記の危険な仕事をお願いするとしたら、どうでしょう? 死ぬ確率が100万分の10万から10万1に増えるだけですから「誤差の範囲」でしょう。安い値段で引き受けていただけませんか?

 

第3問。読者は必ず死ぬ病気に罹患しています。確率100万分の1で病気が治る薬を筆者が売ってあげるとしたら、何円まで出しますか?

 

3つの質問に対する読者の回答は同じでしたか? 筆者は「読者の命の100万分の1の値段は何円ですか?」と3回聞いただけですが。

 

このように、人間は非常に小さな確率は実際より大きく感じるものなのです。だからこそ、宝くじを買えば「もしかしたら当たるかもしれない」と思うわけです。

 

※小さな確率は大きく感じやすい
[図表]実際に起きる確率と、人が感じる確率のイメージ ※非常に小さな確率は実際より大きく感じやすい

 

 

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義の「身近なテーマで経済センスを磨く」実践講座

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