「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもなるのです。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

裏庭水浸し事件…45リットルのごみ箱2つが

裏庭水浸し事件

 

私が家を留守にしている間にいろんな事件が勃発する話、第2弾。

 

仕事で帰りが遅くなるのでヘルパーさんに来てもらっていたが、私が帰宅するまで、2時間ほどじーじが一人になってしまう時間ができてしまった。「まあ、夜だし、ビール飲んで寝ているだろう」と思っていたら、やっぱり事件は起きていた。

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

しかし、家に戻ると雨も降っていないのに、ピチャピチャと水の音。築40年のわが家は蛇口のパッキンが緩んでいて、しっかり蛇口を閉めないとピチャピチャと音がしていることがある。普段はあまり気にならないのだが、今日はなんだかいつもより音が大きい。あわてて家中の水回りを確認するが、水は漏れていない。

 

もしかして!と思い裏庭を見てぶったまげた! 裏庭の水道の蛇口からは勢いよく水が噴き出していて、たまった水は、鯉が泳げるほどの池のような状態。おまけに、45リットルのゴミ箱2個がプカプカと浮かんでいる。

 

きれい好きで、整理整頓が大好きなじーじは、元気だった頃、裏庭にあるゴミ箱のお掃除はお仕事の一つだった。どうやら、ゴミ箱を洗ったものの、水道を止めなかったようだ。真実を確認すべく、「じーじ、庭のゴミ箱洗ってくれたんだね、ありがとう」と言うと、「へ? 知らんぞ」と涼しい顔。どうやら、ゴミ箱を掃除したことを忘れているようだ。

 

ありゃりゃ……と思いながら庭からゴミ箱を救出し、物置に目をやると扉が開いているではないか。恐る恐る物置を確認すると、泥棒さんが夜探ししたあとの事件現場のようなすさまじい状況になっているではないか。どうやら私がいない間に、何かを探していたようだ。

 

「何か探しものしていたの?」と聞くと、「わからん」とじーじ。出た! 最近得意の都合が悪くなると使う言葉。と思っていたら気がついた。いつもより顔が赤い! もしや! 物置にある缶チューハイを探し当てて飲んだのか?

 

再び事件現場に戻って現場検証。やはり、缶チューハイが1本減っている。「ウヒヒっ、うるさいやつらがいないから、今がチャンス、飲んじゃお」という光景が目に浮かぶのであった。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

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