経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

人が集まる二地域居住の拠点「ミナトバラックス」

移住、二地域居住の拠点として地域を活性化

 

東京から車で90分ほどの距離にある千葉県館山市に、今注目されている賃貸マンションがある。住居の他に、ゲストルーム、DIYレンタルガレージ、共有ラウンジ&キッチンがある「ミナトバラックス」だ。移住や二地域居住を考える人を対象としたこの建物のオーナーは、自身もこの地に魅了され移住した漆原秀さん。2017年4月にオープンし、住人同士のコミュニティから地域のコミュニティ形成へと、活動の舞台を拡大させつつある。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

「ナスを知り合いにたくさんいただいたから一緒に食べませんか」「バジルが育ったから、みんなで食べられる料理を作ろうと思うのですが、一緒にいかがですか」「ミナトバラックス」には、かつて日本のご近所付き合いでよく交わされていた会話が行き交う。14戸ある賃貸マンションの住人たちは仲が良く、月に2、3回のペースで共有ラウンジに集まり食卓を囲むのだという。漆原家の子供は1人だが、交流の多い住人たちとは、まるで家族のようだ。

 

漆原さんは2016年、46歳の時に都内から館山に移住した。同マンションの隣地に立つ戸建てに住んでいる。もともとIT関連企業に勤めていたが、多忙な毎日に追われ、仕事のストレスからパニック障害に陥った。「当時、子どもがまだ2歳と、大事な時期で、自分の健康のためにも、会社に雇われない生き方をもう一度考えないといけない」と思ったという。

 

そのことをきっかけに不動産を取得し家主業をスタート。会社へは毎日出勤するのではなく、週に2日出勤するという働き方に転向した。

 

「ミナトバラックス」として経営している当時築38年の元官舎を取得したのは、2016年8月。もともと所有していたアパートの隣地に立っていた。「落札したら自主管理で賃貸経営をして、リノベーションをかけてDIYし放題の空間にしたい」と考えていた。「人が集まるデュアルライフ(二地域居住)の拠点」をコンセプトにリノベーションし、募集をした。現在入居している住人は、地元の知人の紹介やFacebookなどで知り合いになった人たちで、子育てファミリーやカップル、単身者が混在する。

 

住人同士が集まることはもちろん、住人の知人・友人を中心に住人以外の人にも声をかけて、オープン1年目からイベントも実施。祭りでは流しそうめんやかき氷でもてなし、正月には餅つきも行って、30人ほどが集まった。

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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