老人ホームの部屋は北向きでも問題ない
設備はどうでしょうか? 不動産物件と明らかに違うことは部屋の向きです。
一般的に考えて、不動産物件は南向きが一番よいとされています。そして北向きの部屋は、マンションの場合、売れないと言われています。私がその昔、不動産の仕事でマンションの企画を担当していたときに、南側には墓地があり北側からは富士山が見える、はたしてこのマンションはどちら向きに作るべきなのだろうかと、社内で協議をしたことを思い出します。
結局、墓地が見えるが南向きに越したことがないと判断し、南向きにした記憶があります。そのくらい、不動産物件では南向きにはこだわりがあります。
しかし、老人ホームの場合、南向きにする必要はありません。要介護の入居者の場合は、部屋の向きを南向きにこだわる理由はまったくありません。私の経験で申し上げると、多くの要介護高齢者は一日のほとんどの時間を老人ホーム内の自室で過ごしますが、必ずと言っていいほどカーテンを固く閉めきり、薄暗い中で生活をしています。
新人の介護職員だったころ、朝、晴天の日などは居室に伺い、「天気がいいのでカーテンを開けますよ」と言ってカーテンを開けると、必ずと言っていいほど、「眩しいのでカーテンは開けないでほしい」と注意されたものです。それも一人や二人ではなく、ほとんどの要介護入居者からです。
つまり、太陽はありがたいもの、太陽の光は心がすがすがしくなるものというのは私の勝手な思い込みだったのです。だから、老人ホームの部屋は北向きでもまったくかまいません。むしろ眩しくないので、よいぐらいです。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役
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