「児童手当を差し引くべき!」が認められなかったワケ
広島高等裁判所平成22年6月24日判決は、上記のような夫の主張を認めなかった理由として
「子ども手当については、子育てを未来への投資として、次代を担う子どもの育ちを個人や家族のみの問題とするのではなく、社会全体で応援するという観点から実施するものであると説明されている」
と述べました。
ようするに、子ども手当というのは、社会全体で子育てを応援するものなのだから、養育費のような夫婦間の問題とは次元が違うので一緒くたに考えるべきではない、ということのようです。
この判決が出された当時は、子ども手当は月2万6000円になることが予定されていましたし、収入要件もありませんでした。
しかし、今や「子ども手当」という名称すら変わり、金額やら収入要件やら色々と随分違う形になってしまいましたが、「子育てを社会全体で応援する」という根本的な思想は変わっていないように思いますので、今後もこの判決の考え方は維持されていくものと思われます。
※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所 弁護士
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