本記事は書籍『会社を息子に継がせるな』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。刊行当時より税制・法令改正等ございますが、相続対策の成功事例として再掲します。

「少し頼りないですが」すい星のごとく現れたのは…?

オーナー社長の会社には、当時40代の甥が二人働いていました。一人は製造や技術部門を任され、もう一人は販売や営業部門を任されていました。また、事業承継ファンドに買収してもらう交渉の過程で、将来的には甥は十分経営者として二人三脚でやっていける人物と判断。オーナー社長は、甥のことを少し頼りなく感じていたようですが、ファンドとして株式取得後もサポートしていくことを条件に、取締役から代表取締役となってもらいました。

 

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最初に相談を受けたときから約2年後の07年秋、オーナー社長とM&A(MBO)の業務委託契約を結び、本格的な承継準備に入りました。実際にMBOが成約したのは、それから1年半後の09年春でしたが、「ビフォーM&A」を施しました。具体的には、次期社長の甥に経営や会計のことを学んでもらうのと同時に、外部から経営をサポートする人材を送り込んだのです。

 

先にも述べたようにMBOに際しては、後継者の資質とは別に、前オーナー社長から株式を買い取るだけの資金力が必要です。このケースでは、07年当時、株価を算定したところかなり高額になりました。

 

通常、それだけの資金をおいそれと準備はできません。そこで、当社が懇意にしていたファンドに介在してもらい、そのファンドからの出資を仰いで株式を買い取る資金にしようとしたのです。そのため、ファンドから経営サポートと同時にMBO遂行に向けたサポートも行ってくれる人材を派遣してもらい、次期社長の甥はその間、帝王学を学んだというわけです。

 

幸か不幸か、その後、後継までの準備期間の間にリーマンショックが世界を襲いました。

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会社を息子に継がせるな

会社を息子に継がせるな

畠 嘉伸

幻冬舎メディアコンサルティング

現在、9割の中小企業経営者が後継者不在という問題を抱えています。息子がいない、いても“家業"に興味を示さない、あるいはオーナー社長が手塩にかけてきた会社を任せられるほどの才気がない。だからといって、廃業を選んでし…

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