最近は請求書や領収書などの書類を、メールやシステムでやり取りするケースも増えてきました。特にコロナ禍の影響でテレワークを推進している企業も多く、極力紙ベースではなくデータでのやり取りにシフトすることを検討しているケースもあるでしょう。今回は電子取引による書類の保存方法について解説します。

電子データのまま保存する要件は?

電子取引を行った際に、電子データのまま保存を行う要件は以下の通りです。これらすべての要件を満たす必要があります。

 

(1)システムの概要を記した書類の備付

自社開発プログラムを利用する場合に限ります。

 

(2)見読可能装置の備付

ディスプレイ、プリンターなどの備付が必要です。

 

(3)検索機能の備付

取引年月日、取引金額など主要な項目につき検索ができることに加えて、例えば1月から3月の間といった範囲を指定しての条件設定が可能であること、任意の二以上の項目を組み合わせて条件設定が可能であること、が必要となります。

 

(4)その他以下のいずれかの要件を満たす

①タイムスタンプが付与されたデータを授受

②授受後遅滞なくタイムスタンプを付与

③訂正、削除ができない(行った場合確認ができる)システムを利用しての授受、保存

④「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規定」の策定、運用、備付

 

電子データのまま保存と一口に言っても、たとえばメールで送られてきたPDFの請求書をサーバーに保存しておけば良いというわけではなく、これらの4要件を満たしていくことが必要です。従って、現実的には外部システムを導入して保存していく以外は難しいかと思います。

 

(1)から(3)までの要件は保存のためのシステム面の規定です。外部システムを導入される場合は、(1)の要件は不要ですので、(2)(3)を満たす必要があります。特に(3)の検索機能の備付については、ある項目を単純に検索できるだけでなく、範囲指定や任意の二以上の項目指定も必要など細かい要件が求められます。

 

それに対して、実際の電子データの授受につきどのような措置が必要かというのが(4)の部分です。従来は②、④しか認められていませんでしたが、改正により2020年10月1日以降は①、③が加わることになりました。この改正により、例えば業者からの請求書にタイムスタンプがあらかじめ付与されていれば、①の要件を満たすことになります。

 

また、訂正や削除ができないクラウドサービスのシステムを通じて請求書等を授受する場合は③の要件を満たします。このようなサービスは今後増加していくことが予想されますが、保存要件に合致するかは、事前にシステム会社に確認することをお勧めします。

 

タイムスタンプや、訂正・削除に制限を持たせたシステムを利用することが難しい場合でも、④の事務処理の規定があれば電子データのまま保存することが可能です。国税庁が公表している「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」の問19に具体的な規定の例文がありますので、参考にしてみてください。

 

国税庁が公表している規定は、自社の規定により訂正、削除を防止する規定になっておりますが、取引相手と契約によって防止する方法も認められています。この場合は、事前に訂正、削除の防止に関する条項を含む契約を締結する必要があります。

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