「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

「休憩しませんか?」とビールを出すと…

続・破壊星人じーじ

 

事件は、1時間ほど私が外出している隙に起きた!

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

家に戻ったら、壁にとりつけてあった扇風機が引きちぎられている。

 

「じーじ、扇風機どうしたの?」
「漏電の原因になっているから外した」

 

外したというよりは、引きちぎってあるし……。

 

どうやら、昨日ブレーカーが落ちたのは扇風機の漏電だと思っているらしい。

 

私が「コンセント抜いてあったから、漏電にはならないと思うけど」と言った瞬間! 認知症星人に変身! 急に敬語になり、

 

「あなたは、何をおっしゃっているのですか? 3年前に東電の人がきて、この家の漏電の原因はこの扇風機とホットカーペットです。と言ったのをお忘れですか? なので、これからホットカーペットを撤去いたします」

 

こう言うなり、机の引き出しからなにやら取り出して「いいですか、私は、こういう者です」と第一種電気工事士の資格証を私に見せるではないか。

 

「わかったよ、ホットカーペットは私と一緒にやろうね」と言うと……再び! 認知症星人のスイッチON。

 

「この家の管理者はわたくしです。なので、わたくし一人で行います。あなたは、管理者のわたくしに指示をするのですか?」

 

わたくし……って、もっと敬語になってるし……。

 

「わたくしの指示に従えないのなら、今すぐ退去してください。ここは私の管理下にありますから」。これ以上何を言っても怒りん坊に変身するだけなので、隣の部屋に避難して、隙間から様子をうかがうことに。するとドライバーを片手に、ホットカーペットを分解しようとしだした。

 

「管理者さん、お疲れ様です。休憩しませんか?」と、ビールを差し出したところ、「休憩させていただきます」と、一件落着。

 

その後じーじは、扇風機のこともホットカーペットのことも、何もなかったかのように、涼しい顔でビールを飲むのであった。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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