広島高等裁判所岡山支部平成16年6月18日判決は、個人で自動車修理業を営んでいた夫が、事業を拡大して妻を代表取締役とする自動車販売会社を設立し、さらに夫婦で不動産管理会社を設立するなどして、会社名義で不動産ほか多額の資産を形成し、妻は夫の仕事を手伝い、経理事務担当、自動車販売、不動産管理の業務に従事するなどして、会社の資産形成に大きく貢献したという事案で、夫婦で経営していた同族会社であるという事情を重視して、その会社の財産も財産分与の対象とすべきと判断しました。
以上の通り、ワンマン会社の社長は、離婚の際には会社の財産も半分は財産分与の対象となる、考えておく必要があります。
【判旨:広島高等裁判所岡山支部平成16年6月18日判決】
「C川社は、一審原・被告が営んできた自動車販売部門を独立させるために設立され、D原社は、一審原・被告が所有するマンションの管理会社として設立されたものであり、いずれも一審原・被告を中心とする同族会社であって、一審原・被告がその経営に従事していたことに徴すると、上記各会社名義の財産も財産分与の対象として考慮するのが相当である。」
※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所 弁護士
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