多くの老人ホームで収益の悪化に苦しんでいる
さらに、老人ホーム自体の建物でも平屋建てと5階建てとでは運営方法が違います。一般論として考えた場合、老人ホームは横の動線よりの縦の動線のほうが運営は難しいものです。同じ定員60人の老人ホームの場合、平屋で60人のホームと5階建てで60人のホームとでは、必要な介護職員の数はだいぶ違います。ざっくり言うと、平屋の場合は、国が決めた配置基準で十分に老人ホームの運営をすることはできますが、5階建ての場合、とても難しいと思います。
とくに、夜勤帯での職員配置数が焦点になりますが、夜勤帯に多くの職員を配置するということは、日勤帯(昼間)の職員は減らすということになってしまうので、職員総数を増やす必要が生じるということになり、収益の悪化を招きます。
老人ホームという介護保険事業は、一定の収益を得られるように設計されているビジネスです。しかし、多くの老人ホームでは収益の悪化に苦しんでいます。その理由は、以上のように職員の配置数において、余計な人件費がかかっているからだと理解してください。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役
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