「領収書があれば、なんでも経費として精算できる」…多くの日本人には、領収書に対して一種の神話ともいうべき、強い思い込みがあるようです。そんな思い込みから「出せば通るもの」と油断してはいないでしょうか? ビジネスマンが領収書を受け取ることが多いのは接待や交際といった場面。会議の飲食費やゴルフプレー代がよくある例ですが、これらには当然「経費になる場合」「ならない場合」があります。ビジネスマンとして押さえておくべき領収書の知識を解説。※本連載は、出口秀樹税理士の著書『経費になる?ならない?知って得する領収書の本』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

経費になるか否かは「プレーした相手」が分かれ目

接待、交際でよく利用するのがゴルフ。交際費の定番ともいえます。ゴルフのプレー代の領収書は、大半が交際費として処理されることになりますが、いくつか注意点もあります。

 

交際費とは事業の関係者に対しての接待、供応のための支出ですから、その事業関係者がどこの誰かという情報は必須です。

 

たとえば社長が一人でゴルフをしているような場合は、そもそも会社の経費として認められることはありません。また、友人と一緒にプレーしているような場合でも、私的な支出として経費に入れることはできません。

 

また、友人関係にある人で、事業も一緒に行っている人と事業活動の一環として交際するためにゴルフを一緒に行っているということであれば、会社の経費となりますが、線引きはややあいまいといわざるを得ません。

 

さらに、税務的に認められたとしても、このような線引きがあいまいな経費を経営者や役員が会社の経費として落としていたら、社員も経費に対する考え方が甘くなる傾向があるので控えたほうがよいと思います。

「プレー代」「ゴルフ場利用税」を分けて処理する必要

そのようなことからゴルフ代の経費精算はいろいろと気を遣わなければなりませんが、実務的な処理としても注意点がもう一つあります。

 

それはゴルフ場利用税です。ゴルフ場利用税は、ゴルフプレー代のなかに含まれているため、領収金額の中にも含まれています。会社の経理としてはゴルフ場利用税を分けて経理しなければならないのです。ゴルフのプレー代は消費税が課税されますが、ゴルフ場利用税には消費税は課税されないのです。

 

たいていの場合、領収書の金額の内訳にゴルフ場利用税X円という記載がされていますので、それを基に経理処理していくことになります。

 

処理する費目としては、どちらも交際費となりますが、1枚の領収書で内訳を分けて処理しなければならないので少々面倒です。誰と何のためにプレーしたかという内容とともに処理は注意しなければならないところです。

 

 

出口秀樹

出口秀樹税理士事務所 所長

税理士、米国税理士(EA)

 

 

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