『Amazon Prime Video』や『Netflix』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多い。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がサブスクビジネスを始めているが、解約率に頭を抱えるケースも少なくない。解約を止めるには、サービスの特長やメリットを正しく伝える。解約の意思が変わらないようであれば、サービスそのものの改善に取り組んでいく。デジタルマーケティングは日進月歩で変化し続けている。本連載は株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏がいまデジタルマーケティングで何が起きているか、分かりやすくレポートします。

ニワカ視聴者を会員化できる会社は一握り

一方、SVODの大きなメリットとして、すべて在宅のまま検討からお試し、実加入までできる点があげられます。数年前までは、レンタルDVDのお店に出向き、会員証を作り見たい作品があるか、借りられていないかなどを確認して、あれば返す日を店員に宣言して翌日や1週間後に返却ということをしていたのですから、一気にハードルは下がったことは間違いないでしょう。

 

実際、現在SVODサービスがなかったら、「鬼滅の刃」はほとんどがレンタル中で、DVDを順番に見ることも難しかったかもしれません。何度もお店に足を運び、全てを見終わるには、一体いつになったことでしょう。

 

例えば、機能面の検討でいえば、ダウンロード機能があります。これは、ネット環境が恵まれていない人でもWi-Fi環境下でコンテンツをダウンロードして、オフラインでも鑑賞できるというものです。以前は、飛行機の中で見るために地上でダウンロードをして、機内で見るなどの需要があったのですが、このコロナ禍では海外への渡航が減っているので、このニーズは減っていることでしょう。

 

このダウンロード機能というのは、利用者には、ないよりあったほうがいい機能だと思いますが、ほとんどのサービス提供者(企業)は、この機能を使用するため、コンテンツホルダーに別途ライセンス費用を支払う必要があるのです。契約形態にもよりますが、視聴者がコンテンツをダウンロードすればするほど、企業はコンテンツホルダーにお金を払う義務が発生し、利益率を押し下げることになります(※契約の内容は回数や時間などにより変わります)。

 

もちろん単なる視聴もCDNやサーバー費用は従量によるものなので、利用されればそれだけ金額はかさみますが、ダウンロードはそれらに比べてライセンス費用が高価であり、別枠の費用が必要になるため、導入に慎重な企業がいるもの事実です。

 

どのSVOD業者もオリジナル作品を増やしているのは、独自性を打ち出すことと合わせて、このライセンス費用やダウロードの費用が不要になるというのも大きなメリットとなっています。Netflixなどの大手は既存会員数が多いので、自分たちの保有するオリジナルコンテンツが多い方が経営的にも、莫大な制作費をつぎ込んでもトータルでプラスになるという仕組みになっているわけです。

 

日系のサービス事業者は、NetflixとAmazonにはもう対抗せず、共存するという選択を選ぶ企業もいるでしょう。新しい機能や、オリジナルのコンテンツ制作には、多額の投資が必要なため、多くの課金会員が必要となります。コロナで一時的に増えた会員は、この夏から多くの退会者がではじめ、春先の会員に戻ろうとしています。

 

ただ、このチャンスで多くの会員が残存しているサービスがあるのも事実です。企業が提供している機能やコンテンツのカラーに対し、利用者がどれだけ共感したのかという比率と定着率は比例しています。

 

まだまだSVOD業者は成長のために色々と模索が続くでしょう。そのためには課金利用者の声に耳を傾け、様々なリクエストに対応していくことが地道な成長への一歩といえます。

 

佐野 敏哉

株式会社Macbee Planet エヴァンジェリスト

 

 

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