「行方不明の相続人」を除外する旨の遺言を用意
(9)相続人の中に行方不明者がいる場合
⇒公正証書遺言
相続人の中に行方不明者がいる場合、何も対策をしておかないと、残された相続人が行方不明の相続人の所在調査をしなければなりません。また、所在が判明しない場合は、不在者財産管理人の選任が必要になり、多大な時間、労力、費用がかることになってしまいます。
そこでこのような場合、行方不明者を除外した相続人に財産を相続させる旨の遺言を作成することが適切でしょう。
もっとも、行方不明者が現れた場合に遺留分の請求をめぐって争いとなる可能性がゼロではないですが、この点のリスクはやむを得ないものと考えるしかないと思います。
「遺留分を持つ相続人」に財産をあげたくないが…
(10)どうしても相続させたくない相続人がいる場合
●遺留分を持つ相続人(配偶者や子)がいない場合(相続人がきょうだいのみの場合)
⇒この場合は、遺言を作成して第三者に全財産を「遺贈」するとの公正証書遺言を作成しておけば何の問題もありません。
●遺留分を持つ相続人(配偶者や子)がいる場合
⇒この場合は、事例でご紹介したように「廃除」の制度の利用を検討するしかありません。ただし「廃除」はハードルが極めて高いため、利用するかどうか、利用するとして、生前廃除にするか遺言廃除にするかは慎重に検討する必要があります。
そして、廃除が認められない場合の遺留分請求に備えて、遺留分の請求を受ける可能性のある相続人を生命保険金の受取人に指定して遺留分侵害額の支払いの原資を確保してあげるなどの対策をとることが必要でしょう。
加藤 剛毅
武蔵野経営法律事務所 代表
弁護士、元さいたま家庭裁判所家事調停官
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