平成時代の我々がより優良な金融資産を選べていたら…
たとえば、株式市場の話に転じて、過去30年ほどの海外株式と日本株式の株価の上昇率(企業が社会の豊かさを増加させた尺度)を比較すると、海外株式が圧倒的に優れていたことは疑いのない事実です。
その背景には、経営者が給料の主要部分を株式で受け取ること(株主と同じ船にのっている)、低迷企業の株価指数や取引所からの脱落に関する制度面など、 特に先進国において株式会社や株式投資が社会全体を豊かにする本質的な仕組みについて、海外が日本より優れていたことがありました。
優良な投資先への投資を通じて日本人の金融資産が増加し、そこから産まれた余裕資金の一部が消費に回ることで、日本経済は豊かになります。仮に、日本の個人金融資産約1900兆円の利回りが1%高まれば、一年で19兆円の消費余力を生み出すことになりますが、これは日本のGDPの約4%にも相当します。
実際には、平成の約30年間、海外と日本の国債や株式の利回りは、少なく見積もっても年3~5%は差がついていました(海外>国内です)。もし、平成時代の我々がより優良な金融資産を選べていたら、足元の日本の豊かさは大きく高まっていたでしょう。
「広い視野での投資先選択」が日本経済を豊かにする
社会と個人の資産をともに豊かにすると信じる企業が自国にあるならば、その企業へ長期に投資をすることは優良な選択肢です。ただし、忘れてはいけないのは広い視野をもつことです。
もし、「海外金融投資における不買運動」という無意識のマインドがあったのであれば、それは個人と日本の豊かさと幸せを大きく減じてきた可能性があります。現在の個人金融資産1900兆円のうち、外国資産はたった3%程度です。日本人は自らを長期で豊かにしていける大きな埋蔵金をもっているのです。
まとめると、世界での優良な金融資産に投資をする「シガラミのない」行動こそが、本当の意味で日本を豊かにするのです。そして、日本経済の成長率とそれに影響を受ける日本資産の利回りは、平成時代と同様に、当面、世界に見劣りすることが考えられます。グローバル経済の中で自らの購買力を維持していくためにも、海外資産を持っている状態を当たり前にしておくことは、非常に有効です。
広い視野を持って、海外資産も投資先の選択肢に組み込み、優良な金融商品を選択しようとするマインドが、一人一人と日本経済のためになります。人生100年時代、これからも人生と社会を豊かにするための、新しいお金との付き合い方を学んでいきましょう。
【関連記事】 税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】 恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ 親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】