新型コロナウイルスの感染拡大で日本人の働き方が大きく変わった。多くの企業でオフィスワークを在宅勤務に切り替えるなど対応に追われた。出版業界も例外ではない。出版社もリモートワークが始まり、新しい働き方が模索されている。都心部の大型書店は休業を余儀なくされ、出版業界も撃沈かと思われたが、売り上げ好調で予想外の健闘をしている。いま出版業界で何が起きているのか。新型コロナ禍の下での出版事情をレポートする。

新型コロナ感染拡大の時代背景もヒットの要因か

鬼滅は一般の市民生活にも影響を与えずにおかない。幼児へのインフルエンザ予防接種で、注射針を刺す前に「全集中!」と言う技が医師の間で流行っているという。全集中とは、鬼殺隊が鬼と戦うときに使用する呼吸法。実際に効果があり泣かずに頑張る子が増えたそうだ。

 

メタルシールのついた「鬼滅の刃マンチョコ」をコンビニで先行販売したところ、すぐにフリマアプリで高額販売が始まった。レアシール4枚セット付きが50万円で出品されたとかで、ワイドショーが早速飛びついた。

 

極めつけは菅義偉総理だ。11月2日に行なわれた衆議院予算委員会の答弁で、「江田さんですから私も、“全集中の呼吸”で答弁させていただきます」と返した。ウケるつもりが国会議員への浸透度はイマイチで、ほとんど笑いをとることはできなかった。

 

こうなるともはやブームや社会現象というより、「鬼滅狂騒曲」と言ってよいだろう。ツイッターではついに、「キメハラ=鬼滅の刃ハラスメント」なる新語が登場。「まだ映画を観ていない」「その良さがわからない」人にとって生きにくい空気が生まれつつあるようだ。

 

かくいう私もキメハラされる側の人間だ。中学卒業と同時に漫画・コミックと縁が切れ、今では床屋の待ち時間に『ゴルコ13』を読む程度。映画もアニメとなるとなぜか敬遠してしまっている。

 

この原稿を書くため、先日、劇場に足を運んだ。平日の昼下がりということもあり観客は10人ほど。これならコロナの心配もない。みな中高年で、私と同じ「話のタネに見ておかねば」派に見えた。

 

原作コミックスを読んでいたので、そんな予感もあった。やたらと首をはねる残虐シーンの連発と、何よりこれでもかという耳をつんざく大音響にやられてしまった。ただ、ここまでの鬼滅狂騒曲を奏でるのだから、日本人の3割を占める高齢者の支持も取りつけたはず。アニメはまた別物、アニメ大国日本を実感するつもりで出かけたのだが……。

 

一つ感じたことは、鬼に惨殺された主人公の重苦しい過去も、想像を絶する鬼の殺戮エネルギーも、コロナ禍の只中にいる我々だから真に迫ってくるのではないかということ。そういう意味で、コロナという時代が後押ししたヒット作と言えるかもしれない。

 

そして忘れてならないのは、このお化け作品が『週刊少年ジャンプ』の連載から出発したことである。コミックスの売り上げは、電子版を含めると累計1億部(発行ベース)を超えた。軽々に出版不況というべからず。本はまだ死んでいないのだ。

 

平尾 俊郎

フリーライター

 

 

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