コロナ禍、給与収入に不安を覚え、不労所得が手に入る「不動産投資」に興味を抱いた、もしくは実際に始めたという人は少なくありません。しかし、株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部・高山吏司氏は、「日本の不動産投資には夢がない」と述べています。一体なぜなのでしょうか。※本連載は、書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、アメリカ不動産投資について解説します。

 

その理由として「日本での賃貸不動産投資は、苦労の割に魅力がない」ということが挙げられ得ます。これは、不動産会社に勤務する立場からの答えではありません。自分自身の資金で、実際に日本の不動産とアメリカ不動産の両方に投資をした私の経験から得た、正直な実感です。

米国では「中古物件」の価格が上がり続ける

新築不動産は買った瞬間から中古になってしまい、そうなるといきなり平均2割ほど価格が下落すると言われています。新築から中古になると価格が下がること自体は仕方がないかもしれません。

 

しかし、中古物件価格が、(都心の一部地域などのわずかな例外を除いて)その後上がることが(めったに)ないという事実は、価格が上がり続けているアメリカ不動産を知ってしまった今では、非常にむなしい感じがします。価格が下がっていくか、良くて横ばいのものをひたすら持ち続けるしかないのです。

 

それでも、入居者がいれば家賃収入は得られて、キャッシュフローは回ります。しかし、余裕を持った自己資金を入れていない場合、残債の大きさを考えると、得られた収入を自由に使ったり、他の投資に回したりすることは怖くてなかなかできません。特に、金融機
関の融資姿勢が厳しくなった2018年からは、アパートは買い手が不足しているため、私が持っているのと同じような築浅中古物件の価格が下落するのではないかと危惧しています。

 

もちろん今は売るに売れませんし、おそらく物件価格の下がり方の方が残債の減り方より大きいため、いくらキャッシュフローは回っていても、使うことができないのです。最悪、将来の残債割れにあてるために取っておかなければなりません。常にそうやって心配
を抱えているのは、非常にストレスを感じることです。

「日本の不動産投資」は夢がない!?

2018年からは、特に銀行の融資姿勢が厳しくなっている時期だという事情もあります。長期的に見れば金融情勢には波がありますから、将来は融資姿勢が積極化し、そこから物件需要が喚起されて不動産市況が良くなる時期もくるでしょう。

 

ただ、いつそうなるかは誰にも分かりません。いつか市況が良くなることを信じて、いまは「後始末をどうつけるか」ということを考えているのが、私の日本における不動産投資の状況です。せっかく投資をしているのに、下がり続ける物件の価格と残債割れを気にして、後ろ向きというか、後始末をつけることばかり考えなければならない日本の不動産投資は、やはり夢がないと言わざるを得ません。

 

 

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部
高山吏司氏

 

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「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

[改訂版]日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

[改訂版]日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

高山 吏司
ブロドスキ・ザクリ
豊岡 昂平

幻冬舎メディアコンサルティング

「アメリカ不動産投資」といえば、 一昔前までは、超富裕層が趣味と実益を兼ねて別荘を購入したり、 駐在員や大使館職員が現地に自宅を構えたりするのが主流でした。 しかし、時代は変わり、普通に日本にいながら、日本語だ…

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