経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

入居者が家賃以外にどんな費用を支払っているか

入居者が契約するのは賃貸借契約だけではない。「家財保険」と、近年は「家賃債務保証」の契約を結ぶケースが多い。

 

「家財保険」は、入居者が契約期間中に、例えば、地震でテレビが倒れて壊れたり、盗難に入られたりなど入居者自身の家財を補償するだけでなく、「借家人賠償責任保険」も付帯されている。「借家人賠償責任保険」は、家主に対して、原状回復のための修繕費用やその他の賠償責任、水漏れなど居住者同士のトラブルに備える第三者への賠償責任を補償の対象としている。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

「家賃債務保証」とは、入居者が万が一家賃の滞納をした際に、保証会社が入居者の代わりに家賃を立て替える制度だ。従来は連帯保証人を立てることが難しい人が利用する制度だったが、近年は、不動産会社が入居希望者の審査や滞納督促業務を家賃債務保証会社にアウトソーシングして代理店手数料を得られることもあり、賃貸借契約と併せて入居者に加入してもらうケースが増加している。

 

この2つの契約には、家主は直接関与せず、不動産会社が、それぞれ保険会社や家賃債務保証会社の代理店として入居者と契約する。ただし、家賃債務保証については、入居者との契約はないが、家賃債務保証会社と家主の間で「家賃債務保証委託契約」を結ぶ。

 

代理店手数料は、不動産会社にとっても大事な収入源になっている。この2つ以外にも、2018年12月に起きた北海道のアパマンショップ店舗の「ガス爆発」で有名になった消臭剤、浄水器レンタルやカートリッジの販売、24時間緊急駆け付けサービスなどの加入を入居者に促し、代理店収入を得ているケースも少なくない。

 

家主は、このような付加サービスの契約には直接関与していないとはいえ、自身の所有する賃貸住宅の入居者が、家賃以外にどんな費用を支払っているかは、きちんと把握をしておいた方がいいだろう。

 

契約時には、家主は入居者からはお金を受け取り、不動産会社にはお金を払うことになる。入居者から受け取るお金は、「敷金」「礼金」「前家賃」「当月家賃」であり、不動産会社に支払うお金は、「仲介手数料」と「広告料」だ。

 

近年、エリアによっては敷金や礼金をゼロにする物件も増えつつある。これらをゼロにして募集すれば、当然ながら、この収入はない。

 

一方、支払うお金については、不動産会社によって異なる。家賃1カ月分を仲介手数料として設定する場合が多いが、近年は0.5カ月分のケースもある。

 

「宅地建物取引業法」には、「貸主と借主それぞれから受け取る仲介手数料は賃料の半月分以内とする。ただし、依頼者の承諾があればどちらか一方から賃料の1カ月分以内を受け取ることができる」との記載がある。つまり、仲介手数料は本来0.5カ月分だが、仲介を依頼する家主や入居者が承認すれば、不動産会社は家賃1カ月分を受け取ることができるということだ。

 

広告料については、こちらも同じように「宅地建物取引業法」では、基本的に0.5カ月分であるが、家主が承認すれば、1カ月分まで支払うことができる。ただし、近年は「AD」という名のもとで、広告料と同じような扱いの手数料を要求する不動産会社もある。それを逆手にとり「ADを多く払うので入居者を決めてほしい」という家主もいる。

 

「AD」は業法的に問題があると指摘されるが、現状では空室数が増えている中、家主の入居者獲得対策として用いられるケースも少なくない。

 

永井ゆかり
「家主と地主」編集長

 

 

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

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永井 ゆかり

プレジデント社

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