政府の景気への見解が「庶民の実感」と大きく異なる納得のワケ

新型コロナウィルスの影響で景気低迷が続いています。とはいえ「景気は永久に回復しない」と考える人はいないでしょう。平成バブル崩壊や、リーマン・ショックの例からもわかるように、景気は低迷と回復を繰り返し、循環します。では今後、コロナ不況から脱して「景気回復宣言」が出た場合、庶民がそれを喜びとともに実感できるかというと、そこはちょっと別問題なのです。景気と人々の感覚との乖離が起こる理由を、経済評論家の塚崎公義氏がわかりやすく解説します。

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近年、在庫循環や設備投資循環等による影響は少ない

経済学の教科書には、景気が循環する要因として「在庫循環」「設備投資循環」「建設投資循環」「技術革新による循環」の4つが載っていることが多いですね。たしかに、そうした要因が景気に影響を与えていることは間違いないのでしょう。

 

しかしそれらの要因の影響は、いまではかなり小さいので、実際の景気の変動を見るうえでの説明力は決して強くない、と筆者は考えています。

 

経済に占める製造業のウエイトが高く、しかも企業の在庫管理技術が未熟だったころには「作りすぎて在庫がたまったから生産を減らそう」といった要因が重要だったのでしょうが、いまでは経済がサービス化して製造業のウエイトも小さく、在庫管理技術も進化していますから、在庫変動の重要性は落ちているはずです。

 

設備投資循環も、コンピュータのような更新サイクルが短いものが増えていますので、「設備投資が盛り上がって10年後に再び更新投資が盛り上がる」といったことは起きにくいわけです。

 

建設投資は反対に、耐用年数が長い建物が増えているという点で、サイクルは描きにくいでしょう。最近では技術革新が間断なく発生していますので、やはりサイクルは描きにくいでしょう。

 

あとは、「サイクルのリセット」もたびたび起きていますね。バブルが崩壊したり、リーマン・ショックが来たり、新型コロナ不況が深刻化したりすると、その時点の景気サイクルがどのような場面であったとしても、リセットされてしまいますから。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

景気は一度上向けば、そのまま「上」を向き続けるもの

景気が自分で循環する力が弱いとなると、景気は自分では方向を変えないことになります。景気には、一度上(下)を向くとそのまま上(下)を向き続ける力が働くからです。

 

景気が回復して物(財およびサービス、以下同様)が売れるようになると、企業は増産のために人を雇います。雇われた元失業者は給料をもらうので物を買います。そうなると、ほかの企業も物が売れるようになるので…という好循環が生じるわけです。

 

こうした流れが続くと、企業は生産能力増強のために工場を新設しはじめます。銀行も、景気がいいときには借り手の決算がいいので喜んで設備投資資金を融資します。それにより、設備機械等の売れ行きがよくなり、設備機械メーカーが雇用を増やすようになるわけです。

 

地方公共団体は、景気が回復して税収が増えると歳出を増やすことができるようになるので、これも景気の一層の回復に貢献するはずです。

 

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

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