夢のマイホームを購入する際、多くの人が利用する住宅ローン。通常、専門家のアドバイスを受けながら無理のない返済計画を立てますが、長い人生、何が起こるかわかりません。思わぬトラブルによって返済困難な状況に陥ると、最悪の場合、家を失った上に多額の借金が残ってしまいます。そこで本記事では、不動産の任意売却の専門家である矢田倫基氏の書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、「住宅ローン破綻」の危険性について解説します。

「妻の母親がひんぱんに来るんです。それで…」夫暴挙

ただローンを組むにあたって、夷川さんだけの収入では審査を通しにくいということもあり、住まいを共有名義にし、ローンについては美容師として働く妻も連帯債務者になりました。「夫婦で住むのだから問題ない」と考えたのです。

 

 

ところが新居で暮らすようになって間もなく、夷川さんは知り合った女性と浮気をするようになりました。「妻の母親がひんぱんに訪れる家では落ち着くことができず、疎外感を持つようになったせいかもしれません」。当時を振り返って夷川さんはそう語りました。

 

浮気の事実はすぐに妻の知るところとなり、激怒した彼女は一人娘を連れて家を出て行きました。夷川さんは深く悔やみ、何度も謝罪しましたが、結局夫を受け入れられないという妻の気持ちは変わらず、離婚することになりました。

 

美容師として妻と同じ店で働いていた夷川さんは離婚後、職場を去り、新たに配送の仕事に就きました。資格を活かして働いていたころとは異なり、収入は大きく減少しました。

 

手取りは18万円程度に減ってしまい、その中から養育費や慰謝料、住宅ローンを支払うと、5万円程度しか残りません。到底生活が成り立たず、夷川さんはローンを滞納するようになってしまいました。

 

◆ローン破綻で元妻にも返済の請求が

 

滞納が3カ月を過ぎると、金融機関からは代位弁済や一括弁済請求の通知が届くようになります。夷川さんがあわてて銀行に確認をとったところ、「一括弁済できないのなら競売になる」というのが担当者の返答でした。さらには別れた元妻にも請求が回るといわれ、初めてことの重大性に気づいた夷川さんは私の事務所にやってきました。

 

「なんとか妻に迷惑がかかることだけは防ぎたいんです」

 

夷川さんがもっとも気にかけたのは娘と2人で暮らす元妻の生活でした。けれども連帯債務者になっている以上、元妻に請求が回るのは避けられません。債務をできるだけ圧縮するため、早急に自宅を任意売却するのが最良の解決策です。私はそうアドバイスしました。ただし自宅を売却するためには連帯債務者である元妻の同意が必要です。夷川さんから依頼を受けて私は彼の元妻とも面談し、事情を伝えました。

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    著者 矢田 倫基   監修 矢田 明日香

    幻冬舎メディアコンサルティング

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