『Amazon Prime Video』や『Netflix』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多い。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がサブスクビジネスを始めているが、解約率に頭を抱えるケースも少なくない。解約を止めるには、サービスの特長やメリットを正しく伝える。解約の意思が変わらないようであれば、サービスそのものの改善に取り組んでいく。デジタルマーケティングは日進月歩で変化し続けている。本連載は株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏がいまデジタルマーケティングで何が起きているか、分かりやすくレポートします。

急拡大するサブスクでも逃れられないユーザーの離脱

一方で、サブスクリプションビジネスは右肩上がりの活況な市場であり、加入者が純増していくサービスが多く、加入者が解約者を下回らなければ、純増となりますから企業側もそれほど気にはならないと思っていました。

 

ところが、ここにきて、同様のサブスクリプションサービスが乱立するようになり、かつ、どのサービスもあまり違いが明確ではなく価格もそれほど差がなくなりました。加えて、どのサービスも初回30日無料などの特典を打ち出しており、フリーライダーとよばれる無料期間中のみ利用するユーザーも増えてきました。そんな背景から、入会、解約のスパイラルを後押しする土壌もできてしまいました。今夏の発表では、ガリバーのNetflixでさえ四半期の加入者数が鈍化するという報告がありました。

 

業界的には、国内ではAmazon Prime Videoが圧倒的なユーザー数を持っており、2番手にNetflix、その後に国内テレビ局系、携帯キャリア系、独立系といったサービスが3番手の大きなグループを作っています。※1 3番手グループの企業の中には、もう既にAmazonやNetflixに勝とうという気持ちを捨て、どうすればいいか?という戦略に切り替えた企業も存在します。中には、雑誌や漫画が読めるようにサービスをバンドルするところもあり、そういった差別化を推し進めるサービスは順調に会員を伸ばしています。

 

携帯電話も、加入者が飽和し始めたとき、2台目の利用をユーザーに促したように、SVOD(サブスクリプションビデオオンデマンド)の世界でも既にこのような取組が始まっています。現在は、便利で参入もしやすい様々なサブスクリプションサービスですが、類似のサービスが乱立し、飽和が始まると一気に解約が増えユーザーの回遊が盛んになります。ここでユーザーの解約を止めるには、サービスの特長やメリットを正しく伝え、競合と比較しやすい情報を提供することです。それは日頃からユーザーに正しく伝え、時には解約時にきちんとアピールすることで、ユーザーに解約の判断を正しくしてもらうことができるでしょう。しっかりアピールしても、解約の意思が変わらないようであれば、真摯に受け止め、サービスそのものの改善を検討されたほうがよいでしょう。

 

いずれにせよ、月額サービスは毎月解約のタイミングが発生し、競合が増えてくるマーケットでは日に日にそのリスクを企業はもち続け、それをいかに回避し、継続してもらうかがマーケティングにおいて重要になってきたといわざるをえないでしょう。すべてのサービスが顧客の要望や不満に正しく耳を傾け、サービスがより良いものとなり活性化することで、市場に素敵なサービスが溢れることを祈っています。

 

※1.SVODのユーザー数に関しては様々な計測方法があり、計測方法により順位が異なります。

 

佐野 敏哉

株式会社Macbee Planet エヴァンジェリスト

 

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