「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

認知症テストを受けさせる主治医の提案

もしかして……

 

じーじの様子がおかしいなあと思い始めたのは、約2年前。夕飯はあるのに、なぜかほぼ毎日のように近所のコンビニエンスストアでおにぎりを1つ買ってくるように。おまけに、自転車で出かけたのを忘れて歩いて帰ってくることもしばしば。

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

そのうち、だんだん自転車に乗れなくなり、道路で転んでいるところを送迎中のデイサービスのスタッフさんや、ヘルパーさんに発見され送ってきていただいたことも。危ないので自転車を処分したら、今度は歩いてコンビニへ。途中で歩けなくなり道端にうずくまっていると、またまた、送迎中のデイサービスのスタッフさんやヘルパーさんに発見され家まで送ってきてもらえるという、なんとも強運の持ち主なのである。

 

歩いて行くのは疲れると思ったのか、今度はバスに乗って大宮駅へ。毎回同じお惣菜を買ってくるように。しかし、本人は食べるわけでもなく、お惣菜はそのまま放置。

 

「食べる時だけ買ってくれば」
「俺が俺の金を使って何が悪い」

 

と怒る、怒る! 今まで、大きな声を出して怒ったことのないじーじが、よく怒るようになるし、同じものばかり購入するし……もしかして認知症?と思い、物忘れ外来に連れて行こうかと思ったが、以前の記憶が頭をかすめた。

 

脳梗塞で入院した際に「長谷川式*」をしている最中、「認知症のテストをさせて、私をバカにしているのですか」と、途中でテストをやめて診察室を出ていってしまった経歴の持ち主、そう簡単に検査を受けるとは思えない。

 

そこで、主治医の先生に相談したところ、「脳梗塞が再発してないかどうか検査をしましょう」と、直接じーじに話をしてくれたので、すんなり検査を受けることができたのだった。


  
長谷川式テスト
正式には、「認知症スケール長谷川式」。認知症の早期発見に効果的な知能検査。初期の認知症は、加齢による物忘れなどと区別がつきにくい。認知症か単なる老化現象なのかを判断するテスト。聖マリアンナ医大の長谷川和夫名誉教授が考案。年齢、年月日、簡単な計算などを短時間で問う。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

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黒川 玲子

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