「こっちの迷惑も考えろ」と…こじれた関係を修復する方法は?

うつ、不安・緊張、対人関係の問題、依存症――近年、これらの悩みを抱える人はますます増えている。実は、それぞれに共通する原因になり得るものとして、親との関係によって築かれる「愛着」がある。ここでは、「愛着アプローチ」という手法を用いて、現代人の悩みの解決に寄与したい。※本連載は、精神科医・作家である岡田尊司氏の『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』(光文社新書)より一部を抜粋・再編集したものです。

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愛着の課題を克服する手段は、最も身近なところにある

愛着障害を抱えている人は、安全基地となってくれる人がいないことで苦しんできただけでなく、自分が相手にとっての安全基地になれないという苦しみを抱えている。自分自身が、安心感や人との信頼や安定した対人関係をもてずに苦しむだけでなく、相手にとっても、良い安全基地となれないことによって、自分を愛してくれる人や自分の子どもに苦しい思いや寂しい思いをさせてしまいやすいのだ。そこに、愛着という問題の相互的な本質がある。

 

したがって、愛着障害を克服することは、自分が生きやすく、幸せになるだけでなく、自分が愛したり、自分を愛してくれたりする存在を、生きやすくし、幸せにすることにもつながるのである。

 

そして、その克服のためにできることとしては、特別な訓練や修業によって「振り返りの力」を高めることも一つだが、むしろ、自分にとって大事な存在や、自分を大事に思ってくれている存在に対して、自分自身も「安全基地になろう」と努力することなのである。
自分が相手にとっての安全基地に少しでも近づけば、相互性の原理によって、相手もあなたの安全基地になろうとする。そして優しさを与え合う関係によって、どちらもが恵みを受け取ることができる。愛着が安定し、愛着の傷が修復され、愛着障害の克服にもつながっていく。

 

愛着の課題を克服する手段は、どこか遠くにあるのではなく、あなたの最も身近なところにもあるのだ。

 

ただ、そのことに向き合う気持ちになるのが容易ではないということだ。あなたにとって、いちばん苦手な存在や、強い葛藤を抱えている存在に対して、いきなり安全基地になろうと努めても、余計失望させられたり、逆に傷つけられたりすることもあるだろう。

 

まずは、難易度の低い、あなたが安全基地になりやすい存在に対して、そうなる努力をすることでも良いのである。

 

すっかりこじれ、関係の改善などあきらめている相手であっても、あなたが安全基地でありつづける努力をすることができれば、関係が修復するチャンスは十分ある。なぜなら、それだけこじれてしまう関係というのは、深い愛憎が絡んでいるからである。そこまで嫌ったり憎んだりするということは、それだけ求めていた部分があったということでもあるからだ。だからこそ行き違いが起きてしまっているのである。

 

それゆえに、何かのきっかけで相手にこちらの真心が伝わると、関係が元通りになるということも起きる。そのためには、安全基地として、誠実にふるまい続けることである。そうしているうちに、相手が弱っている状況や困っている状況になったときに、関係修復のチャンスが訪れやすい。

 

重要な存在との関係を修復することは、あなたの愛着の安定性をさらに高め、ストレスの面でも、それ以外の対人関係や社会的活動の面でも、プラスの影響をもたらすだろう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

精神科医、作家

1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退、京都大学医学部卒、同大学院にて研究に従事するとともに、京都医療少年院、京都府立洛南病院などで困難な課題を抱えた若者に向かい合う。現在、岡田クリニック院長(枚方市)。大阪心理教育センター顧問。

著書に『愛着障害』『回避性愛着障害』『死に至る病』(以上、光文社新書)、『ストレスと適応障害』『発達障害と呼ばないで』(以上、幻冬舎新書)、『パーソナリティ障害』(PHP新書)、『母という病』(ポプラ社)、『夫婦という病』(河出書房新社)、『マインド・コントロール』(文藝春秋)など多数。

小笠原慧のペンネームで小説家としても活動し、『DZ』『風の音が聞こえませんか』(以上、角川文庫)、『あなたの人生、逆転させます』(新潮社)などの作品がある。

著者紹介

連載親子、友人…対人関係が上手くいかない人へ!「愛着障害」を克服する方法

愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる

愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる

岡田 尊司

光文社

幼いころに親との間で安定した愛着を築けないことで起こる愛着障害は、子どものときだけでなく大人になった後も、心身の不調や対人関係の困難、生きづらさとなってその人を苦しめ続ける。 本書では、愛着研究の第一人者であ…

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