コロナ禍の不景気下において、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力である「社会人基礎力」を、就職希望者に求める企業が増えています。本連載では、書籍『デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、東京富士大学経営学部教授である鬼木一直氏が「幼少期から『社会人基礎力』を身に付けておくことの重要性」について解説します。

なぜ、今「児童発達支援事業」が求められているのか…
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いい会社に入ることだけが人生のゴール?

人生の目標はどこにあるのでしょうか? いい会社に入るためにいい大学に入る、そのために、いい高校に入る、どんどん遡(さかのぼ)っていき、幼稚園受験を目指す。もちろん、確率を高めることは大事なことだと思います。しかし、いい会社に入ることがゴールでしょうか? 子どものうちにどのような力を付けることが必要なのでしょうか?

 

私は、ソニー株式会社でエンジニア、開発マネージャとしてさまざまな人たちと仕事をし、現在大学教授として学生たちと多くの時を過ごしています。

 

今の学生は、私が学生だった頃と比べてはるかに真面目ですし、しっかりしていると思います。一方で、突飛な発想力やギラギラしたエネルギーが不足しているようにも感じます。

経済産業省が提唱した「社会人基礎力」とは

経済産業省は、2006年に「社会人基礎力」を提唱し、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力として3つの能力、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」、さらにそれぞれの能力に対し、12の能力要素の育成を掲げました。

 

また、2018年には社会人基礎力がその重要性をさらに増しているとし、人生百年時代の社会人基礎力を「新・社会人基礎力」と表現し、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力と定義しています。

 

新・社会人基礎力は、社会人基礎力を継承したうえで、「何を学ぶか」、「どのように学ぶか」、「どう活躍するか」、という新たな3つの視点を追加しています。

先行き不透明な経済下、「社会人基礎力」がより重要に

社会経済環境が極めて予測困難な状況に直面している今、深く考え、実社会で役立つ社会人基礎力の重要性がますます高まってきています。私は、社会人基礎力の基盤は幼少期の教育にあると確信しており、小学校入学前に“一歩踏み出す力”となる自己肯定感をつけさせ、学校での教育だけでなく、幼少期の家庭教育を考え直す必要があると考えています。

 

◆社会人基礎力の3つの要素と12の能力要素

〈前に踏み出す力〉 ~一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力~

・主体性 物事に進んで取り組む力
・働きかけ力 他人に働きかけ巻き込む力
・実行力 目的を設定し確実に行動する力

 

〈考え抜く力〉 ~疑問を持ち、考え抜く力~
・課題発見力 現状を分析し目的や課題を明らかにする力
・計画力 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
・創造力 新しい価値を生み出す力

 

〈チームで働く力〉 ~多様な人々とともに、目標に向けて協力する力~
・発信力 自分の意見をわかりやすく伝える力
・傾聴力 相手の意見を丁寧に聴く力
・柔軟性 意見の違いや立場の違いを理解する力
・状況把握力 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
・規律性 社会のルールや人との約束を守る力
・ストレスコントロール力 ストレスの発生源に対応する力

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デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方

デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方

鬼木 一直

幻冬舎メディアコンサルティング

親の小さな心がけで、子どもの未来は大きく変わる!前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力が身に付き子どもの可能性を最高に伸ばす家庭教育メソッド。すぐに役立つ、子どもがすくすく育つ、企業のマネジメントと教育現場…

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