「まずはご挨拶…」グローバルビジネスを失速させる日本の慣習

米国で30年以上研究者として活躍し、現在はスタンフォード大学医学部で教鞭をとる筆者が、仕事を極限まで効率化して最大の成果を得る、具体的なビジネススキルを公開! 今回は、会議を効率化する秘訣のほか、日本流のマナーや慣習がビジネスの機会損失の原因となっている現状を取り上げます。※本連載は、スタンフォード大学教授、医学博士の西野精治氏の著書『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

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会議時間短縮の秘訣…アジェンダの事前共有

米国でもブレインストーミングのような非公式のミーティングでは、みんなで意見をああでもない、こうでもないと延々と話し合うこともあります。代表的な例は、研究費申請のための作戦会議です。

 

しかし、これはかなり特殊な会議。スタンフォードを含めたシリコンバレー式の通常の会議は、短くて15分、長くても1時間あれば終わります。なぜこれほど早く終わるかと言えば、「この会議で何を決めるのか」があらかじめアジェンダとして明文化されているためです。

 

たとえばスタンフォードの教授が話し合う内部の会議も、あるいは私のラボとシリコンバレーの企業と何か共同でやるための外部との会議も、まずメールでアジェンダを共有します。アジェンダと言っても簡単なもの。4行か5行の短いメールだったり、添付ファイルだったりしますが、「今日はAからDまで4つのアジェンダについて話し合います」と参加者全員に周知するのが基本です。

 

資料などの準備が必要なものは特にアジェンダが欠かせませんが、たとえば特別な準備はいらず、その場で話せばいいことであっても、事前にアジェンダを知っているのと知らないのとでは大きく違います。たとえ会議の1時間前にアジェンダを書いたメールがきたとしても、頭の中で自分の考えをまとめておけるだけで発言がクリアになり、話し合いが結論に結びつきやすくなるのです。

「時間に制限がある」という意識を持て

アメリカでは会議の始まりの時間と終わりの時間がきっちりと決まっています。たとえば朝10時に開始して11時終了という1時間の会議で、アジェンダが4つあるなら、「1アジェンダにつき15分」と単純に割り振ることができます。「ややこしいアジェンダAに30分かけて、残る3つは10分ずつで簡潔に終えよう」というやり方もあるでしょう。終了時間とアジェンダがクリアになっていると、時間配分ができるということなのです。

 

たいがい、時間配分を含めて会議の采配がうまい人がファシリテーターを務めますが、全員に「時間内に全て話し合い、結論を出す」という共通認識があるかないかで結果は変わってきます。

 

「時間に制限がある」という意識を持たないまま、途中で関係のない話をグダグダする人は論外ですし、会議の冒頭に世間話をするなどありえないことです。仮にそんな人がいたなら、貴重な時間を無駄にしないでくれと非難され、相手にされません。みんなが集中してこそ時間の節約が可能となりますし、時間内に結論を出すのは、会議に参加する全員の責任でもあるのです。

 

時には議論が白熱して「アジェンダが4つあったのに3つまでしか話し合えなかった」ということもありますが、私の経験からしてそれはごく稀なこと。たいていは逆に予定より早く終わって、そのまま解散します。仮に議題が残ってもその日の会議はひとまず終了します。ほとんどの参加者がその後の予定を入れているからです。

 

そもそも集中して本気で議論するというのは、結構なエネルギーがいります。脳の集中力は年齢差、個人差はありますが15分程度が限度という報告もあります。よく知られている報告では中学1年生を、1時間ぶっ通しで英語を学習する「60分学習」のグループと、休憩を挟みながら学習する「15分×3=45分学習」のグループに分けて比較したところ、後者のほうが明らかに学習成果が上がったというのです。

 

私見になりますが、職場でクリアな議論ができるのは、最長で1時間位ではないでしょうか。いずれにしろ長時間の集中はストレスとなり、精神的、身体的に悪影響を及ぼすことは間違いないです。

 

ちなみにスタンフォードでは、特に終了時間を決めていなくても、「会議は最長1時間」が暗黙の了解になっています。スタンフォードに行ったばかりの頃、「月曜の朝8時から会議」というのが普通にあって驚きましたが、今ではそれが快適です。西海岸は朝型の人が多く、また、朝早くは来客とのアポイントメントが入ることも少ないので、みんな集まりやすいという理由なのでしょう。

 

私は朝6時には研究所に行き、午前中は主に一人で頭を使う仕事に当てていますが、終了時間が決まっているからこそ、「会議は9時に終わるから、そのあと**をしよう」と予定が立ちます。逆に言うと昔の日本のように「9時から会議」と開始時間だけが厳密に決まっていて終了時間が曖昧だと、会議がだらだらと長引きます。

 

「いつ会議が終わるか誰にもわからない」という状態だと、自分自身で時間をコントロールできなくなるので、仕事のペースが乱されて成果も出にくくなるでしょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

 

スタンフォード大学 医学部精神科 教授 医学博士 医師
スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
日本睡眠学会専門医、米国睡眠学会誌、「SLEEP」編集委員
日本睡眠学会誌、「Biological Rhythm and Sleep」編集委員

1955年、大阪府出身。大阪医科大学卒業。1987年、大阪医科大学大学院4年在学中、スタンフォード大学精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。2000年にはナルコレプシーの発生メカニズムを突き止めた。2005年にSCNLの所長に就任。2007年、日本人として初めてスタンフォード大学医学部教授となる。

睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。

最新の著書は、2020年9月に文藝春秋より刊行された『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』。スタンフォード大学教授だからこそ発信できる希少情報が話題に。

※西野教授の理論をもとに開発された枕も好評。「BRAIN SLEEP PILLOW」

著者紹介

連載スタンフォード式!お金と人材が集まる仕事術

スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術

スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術

西野 精治

文藝春秋

スタンフォード大学で学んだ著者が説く、仕事術! 著者がアメリカトップの大学の一つであるスタンフォードの門を叩いたのは1987年のこと。それから多くの蒙を啓かれること30年余、真の成果主義や個人主義について学びました…

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