どうやって老人ホームを選んだらいいのか? それには入居者の生の声を聞くのが一番と、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者は断言します。そこで著者は、数々の入居者のエピソードを通して、ホームでの暮らしの悲喜こもごもを紹介。現在、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『老人ホーム リアルな暮らし』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

利用者に介護保険制度について再教育をすべき

私が言いたいことは、介護保険制度を利用するすべての人に対する、教育の重要性です。特に、利用者に対し、介護保険制度について再教育をすることの重要性を強く訴えたいと思います。介護保険制度は、たしかに良い制度だと思います。1割から2割程度の自己負担で、人から具体的な支援を受けることができる制度です。加齢などを理由に自分のことが自分でできなくなった高齢者が、社会の中で自立して生きていくには、必要なサービスだと思います。

 

しかし、その運用方法を間違えると、そもそも支援をする人が世の中からいなくなることに留意しなければなりません。人手不足と言われている昨今、介護業界で働く職員の高齢化も進んでいます。聞くところによると、ある有名大学では学生が介護業界を目指したいなどと言おうものなら、「もう一度よく考えなさい」と言って、再考を促すところもあるそうです。つまり、現実的に考えた場合、介護業界を支えている職員は、介護や福祉に対し強い思いがある一部の職員と、他の仕事に従事し方向転換を迫られた職員の2通りです。多くは後者の職員によって成り立っていると言えます。

 

このことを理解した上で、職員教育を行なっていくというプロセスを踏まなければならないと思っています。しかし、今の介護業界は、このプロセスを踏まずに、「介護って、こんなにいい仕事」「介護って、社会に必要とされているやりがいのある仕事」などと嘘を言っています。さらには、「すべては入居者様のために」とか「入居者様のたくさんの笑顔が見たくて」などの情緒的な言葉が飛び交います。

 

しかし、冷静に介護業界と介護職員の事実を受け入れなくてはならないと思います。前著の『誰も書かなかった老人ホーム』でも取り上げましたが、介護職員がどのような人たちなのかを受け入れることから始めなければなりません。

 

小嶋 勝利
株式会社ASFONTRUSTNETWORK常務取締役

 

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