圧巻の超大国なの?中国の経済成長率が「日本の6倍」あるワケ

新型コロナウイルスの影響で、世界各国の景気が低迷しています。公表されている経済指標からは、その国の経済におけるいろいろな状況が読み取れますが、各指標が意味するものや、動きの特徴を正確に把握していないと、正しい理解はできません。GDPの短期的な増減が起こる理由、先進国と新興国の経済成長率の開きの意味するところ、工業国と農業国それぞれの数値の動きの特徴…。経済評論家の塚崎公義氏が平易に解説します。

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景気は、名目経済成長率より「実質経済成長率」で判断

「GDP」というのは「国内で作られた物(財およびサービス、以下同様)がどれくらいか」という統計で、具体的には、国内で生み出された付加価値の合計額で求めます。付加価値というのは、売値から材料等の仕入れの値段を引いた値のことです。詳しくは拙稿『「GDP」をどこまで説明できるかで判明する「経済情弱度」』をご参照いただければ幸いです。

 

「経済成長率」というのは「GDPの増加率」のことです。GDPが増えているということは、去年より今年のほうが多く作られた、ということを意味しているはずです。しかし、物価が2倍になったからGDPが2倍になった、という状況は、生産量が増えたわけではなく、経済の実態はなにも変わっていませんから、景気がいいとはいえません。

 

一方で、物価が変わらずにGDPが2倍になっていれば、生産量が2倍になっているわけですから、さぞかし失業者は減り、景気もよくなっているはずです。

 

というわけで、景気を見る際には、名目経済成長率よりも「実質経済成長率」を見るのが普通です。名目経済成長率というのは、単純に今年のGDPを去年のGDPで割った値のことで、実質経済成長率というのはそこから物価上昇率を差し引いた値のことです。普通に成長率という場合は、実質経済成長率を指します。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

国によって「普通の経済成長率」は異なる

新型コロナ不況が始まる前、中国の経済成長率は6%程度で、日本は1%程度でした。その違いの理由は、中国のほうが技術進歩が早いからです。といっても、発明発見が多いという意味ではありません。使われている技術が毎年新しくなっていく、という意味です。

 

日本の工場は、昔から立派な機械を使って製品を作っていましたから、機械を最新式のものに入れ替えても、それほど労働者ひとり当たりの生産量は増えません。しかし、中国の工場では急速に機械化が進んでいて、手作業で行っていたものを機械が行うようになっているので、労働者ひとり当たりの生産量が急速に増加しているのです。

 

日本も中国も、労働者の数はそれほど変化していないので、労働者ひとり当たりの生産量の変化が成長率に大きな影響を与えている、というわけですね。

 

このように、少し長い目で見た経済成長率を決めているのは「生産力」です。しかし、短期的な成長率の上下は景気変動によってもたらされ、景気変動は需要の増減によって起こります。

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

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