自宅を処分しない入居者…えっ?「帰る場所がなくなる」恐怖

もし親を老人ホームに入居させるとして、まず第一歩として何を理解しておけばいいのでしょうか。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が、親を老人ホームに入れようと思った時に「知っておきたい選び方、探し方」を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)から一部を抜粋、編集したものです。

老人ホームに入居は家財道具を処分すること

捨てるものはまだあります。それは入居者の家財や資産です

 

老人ホームに入居すると、今まで住んでいた自宅や家財道具の処分に頭を悩ませます。

 

小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)
小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)

ご承知のとおり、多くの老人ホームの居室の広さはおおむね20平米から30平米です。坪に換算すると7坪から10坪程度ではないでしょうか? ついでに申し上げると、これは14畳から20畳程度の広さです。この広さの中に、トイレや洗面所、場合によってはミニキッチンや浴室などが配置されているわけなので、残りのスペースがどれだけあるのかは、想像ができると思います。

 

当然、今まで一戸建てなどで自由な生活をしてきた高齢者にとっては、ほとんどの家財道具は老人ホームに持ち込むことはできません。むしろ、改めて老人ホームで生活をするための家財道具を購入しなければならなくなります。

 

私が以前、老人ホームの管理者をしていたときの話ですが、多くの入居者には、今まで住んでいた自宅という不動産がありました。そして、多くの入居者は、その不動産の管理のために相当な費用を負担し、外部企業に委託していました。あるとき、私が一人の入居者に対し「自宅に誰も住んでいないのであれば、処分したほうが楽なのでは?」という話をしたことがあります。すると、その入居者は無言で私の顔を見つめるだけでした。

 

そのとき私は、思い出のいっぱい詰まった自宅を処分するのは、さぞかし辛いことなのだろうと、自分に都合の良い解釈を勝手にしていました。ところが、後日、別の入居者Aさんから思いもよらない言葉を聞くことになります。

 

その入居者は、私の「なぜ自宅不動産をいつまでも処分しないで保有しているのか」という問いかけに対し、「戻る場所がなくなるから」と答えたのでした。

 

「戻る場所がなくなるから?」私の頭には?マークが並びます。たしかAさんは、このホームを終の棲家だと言って入居してきたはずです。終の棲家ということは、文字どおり最後の家という意味だと思います。それなのになぜ?と私は思いました。

株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載親を老人ホームに入れようと思った時に「知っておきたい選び方、探し方」

誰も書かなかった老人ホーム

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小嶋 勝利

祥伝社新書

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老人ホーム リアルな暮らし

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もはや老人はいらない!

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