「社長の教祖」と異名を持つ一倉定氏は経営者をよく叱った。叱られるたびに多くの経営者は目を輝かせた。社長の教祖は「世の中に、良い会社とか悪い会社なんてない。あるのは良い社長か悪い社長だけである。会社は社長次第でどうにでもなるんだ」と断言したという。なぜ、令和の時代に「一倉定」が注目されるのか。本連載は作間信司著『伝説の経営コンサルタント 一倉定の社長学』(プレジデント社)からの抜粋です。
社長業はお客様の満足だけが唯一の合否判定
社長業を放棄する社長
社長の仕事は決定することである。それも「我社の未来を作るための、今の決定」である。
意見を求めることは問題ないが、多く聞きすぎると迷ってしまい時間だけがズルズルと過ぎてしまう。他の意見、助言を「自らの決定」としてしまい、上手くいかなければ他責とし、ひどい場合は「現場に丸投げにして」担当者に責任を取らせる社長も現実に目の当たりにした。
これこそ最悪の社長業の放棄であり、財務や経営戦略以前の「社長の姿勢」の問題である。残念ながら後継社長に見られがちな行動である。ただし、問題点の分析や「やるべき論」は一見筋が通っている場合も多く、知識も豊富であるから本人さえそのまずさに気づいていないのである。
神ならぬ人間のやることであるから間違いはつきものである。ダメだと思ったら「朝令朝改」も問題なし、一倉先生の指導でもあり、社長の見栄や虚しいプライドなどは糞喰らえである。
決定とともに全ての結果責任こそが社長業の根幹であり、お客様の満足だけが唯一の合否判定なのである。
作間 信司
日本経営合理化協会 専務理事
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日本経営合理化協会
専務理事
1959年、山口県生まれ。81年、明治大学経営学部卒業後、大手インテリア会社にて販売戦略など実務経験を積んだ後、1983年、日本経 営合理化協会入協。事業の企画・立案を担当するかたわら、会長牟田學の薫陶を受け、全国の中堅・中小企業の経営相談に携わる。以来20余年の豊富な指導経験からオーナー経営者との親交も非常に深く、その親身のコンサルティングに多くの社長が全幅の信頼を寄せる。メーカー・商社・小売・サービス業など、現在まで300余社を指導する気鋭のコンサルタント。協会主催の社長塾「地球の会」「事業発展計画書作成合宿セミナー」などの講師を歴任し、現在「佐藤塾〜長期計画〜」副塾長、「JMCA幹部塾」塾長を務める。田中道信氏の「会長業の実 務と心得(CD)」の聞き手、社長のための“声” の経営情報誌「月刊CD経営塾」の番組ナビゲーターとして活躍中。執筆中の協会のメルマガ、社長のための経営コラム「経営無形庵」も好評。 共著『事業発展計画書の作り方』、解説『執念の経営』。
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