いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。大切な人の死後、まさかの事態が起きてしまったら? 相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が実際の事例をもとに解説します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の事例を編集したものです。プライバシーに配慮し、相談内容と変えている部分があります。

築40年超の木造一軒家。「売ろうね」のはずが…

今回のケースは、母親が亡くなって、子供3人(長男、次男、長女)が母親の自宅を相続したことから始まります。

 

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都内のとある住宅地での出来事です。大きさは80坪程度の土地。母親が住んでいた家屋は築40年以上経ち、かなり古くなっている木造一軒家でした。

 

相続税が700万円くらい発生することがわかったものの、母親の遺産はほぼ自宅のみで現金はあまり残っていません。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

子供たち3人は「それぞれ自宅を持っているし、お母さんの家と土地を売って、そのお金で相続税を払おうか」という話になりました。しかし、ここで問題が起きました。

 

子供たちの遺産分割協議では

 

・分筆して80坪は3等分にすること

・売る売らないはそれぞれ相続した人の判断だが、基本3人とも売却の方向

 

でした。

 

80坪の土地自体は角地であり、分筆すると1つは角地、のこり2つ前面道路が私道という状態になりました。

 

その私道に関して母親が持ち分をもっておらず、次男の土地と、長女の土地が無道路地(道路に接していない土地)になることが判明したのです[図表]。道路がないと土地の売却は極めて難しくなります。

 

[図表]
[図表]

 

土地を売却を進めるなかで不動産屋が調べて初めて知った事実でした。

 

さらに、もう1つ大きな問題が。それは水道です。

 

もともと母親の自宅には水道を引いています。3つに分けるのにあたって、長男の土地は公道から水道を引けばいいのですが、次男と長女は私道です。

 

そこで道路を挟んで正面にいるAさんに「こちらの負担で道路を掘りますので、水道管つなげてもいいですか?」と次男長女が伝えたところ、なんとAさんが拒否したのです。

次ページ「お金を払うのでなんとかお願いします」まさかの結末

本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年8月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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