日本ではあまり馴染みがありませんが、欧米の富裕層の間では美術品が価値ある資産として扱われ、オークションなどを通じて、古いものであっても高値で取引きされています。アートコンサルタントの第一線で活躍する長柄発氏が、知られざるアートシーンを、自身の経験も交えて紹介していきます。第1回目のテーマは「高級腕時計」。

ロレックスを上回る評価を受けるパテックフィリップ

パテックフィリップも間違いなくプレミアが大きく付いている時計である。

 

元々、ロレックスに比べると生産量も少なく販売店も少ないことから流通量が少ない。海外の免税店等に行くと必ずロレックスは空港内に直営店を持っているが、パテックはこういう販売をあまり行っていない。現在、世界70数ヵ国の極めて厳選された販売店舗のうち直営店(ジュネーブ本店、パリ・ヴァンドーム店、ロンドン・ボンドストリート店、NYティファニー店など)、さらに数店舗をブティック(ミラノ、フランクフルト、東京)と位置づけている。直営店以外で、日本国内で一般的にパテックを買おうとすると品数が限定された百貨店か正規販売店に限定される。

 

そのようなレアリティ(希少性)も影響しているのか、セカンダリーマーケットでの評価はロレックスを上回る勢いがある。コレクターやオークションハウスの中ではいわゆる「リファレンスナンバー」で取引され、スーツに似合う時計はパテックをおいて他にはない。

 

複雑時計のブームを作ってきたリシャール・ミルは見た目も複雑。ケース内はスケルトンで、思わずスケルトンの美しさにうっとりし、瞬時に時間を読み取れないところがこの時計の魅力なのだ。

 

斬新なトノー型のカーボンケース等をいち早く導入。レーサーたちにこれを供与し、1千万円を超える驚きの価格でも世界の富裕層にヒットした。この時計、金額も時間も気にしないフェラーリやマセラティオーナーには絶対に似合うだろう。

 

トゥールビヨンで名を馳せたブレゲは、それが地球の重力にいかに逆らった正確な機構かを強調した。現在も進行するトゥールビヨン神話はここから始まった。筆者がクリスティーズに在籍した頃、スイスのあるメーカーは香港のオークションをうまく利用しプロモーションで知名度を上げた。一方、オメガやセイコー等はむしろ実用時計を謳い、そういうハイエンドのマーケティングを行って来なかったので、地味で、セカンダリーでの評価が上がらない。つまりセイコーの時計がクリスティーズやサザビーズで取引されることは稀有である。

 

時計のプロモーションにはセレブが登場する。ジョージ・クルーニーがつけてればオメガはそれだけでカッコいい。去年のロンドンでのプロモーションではチュード(TUDOR)に俺様キャラのベッカムが採用されていた。彼の立派すぎる全身タトゥーが邪魔して、腕時計が全然引き立っていなかった。残念なキャスティングだったと言わざるを得ない。

 

カルティエの腕時計にも論評すべきなのだが、サントスというアヴィエーター(航空家)のために腕時計を発明したことには敬意を表する。しかしどうも筆者には線が細くて受け入れがたい。

 

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