医師の勉強会というと、同じ分野の医療従事者どうしが意見や情報を交わす場というイメージがある。しかし、医療ガバナンス研究所が開催する「プラチナ勉強会」はその真逆だ。テーマも講師も自由なうえ、希望者はだれでも参加することができる。なぜこのような会を開くのか? 勉強会の開催を「使命」とする筆者が語る。※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

コロナ以降、急激に変わった「勉強会」の形

もちろん、このような勉強会を主催するにあたり、困難や苦労も少なからず存在する。今までで私を一番悩ませたのは、2020年から世界的に流行した新型コロナウイルスである。

 

それまでは、勉強会は基本的に現地会場に来て参加するものであり、オンライン開催という概念すら持っていなかった。しかし、日本でも4月7日に緊急事態宣言が発令され、人々が自粛ムードになる中、プラチナ勉強会を月2回、参加者を募って開催することは非常に困難になった。

 

そんな中Zoomをはじめとするオンラインツールが台頭し、いつしかミーティングや飲み会でさえオンラインで代替されるようになった。プラチナ勉強会ももちろん、例外ではない。Zoomツールを使おうと、有料会員にも登録した(無料会員だと1回のミーティングが40分までであるため)。

 

実際にオンラインで勉強会を開催してみて、最初はやはり一筋縄ではいかなかった。ほとんどの参加者がオンライン参加といっても、会場にも講師や、スタッフなどのメンバーが数人参加する。そのため、従来と比べて気に掛ける点がただ増えただけであったのだ。

 

会場で講師用のパソコン、参加者の席、配布資料などを準備する傍ら、Zoomに入ってくるオンライン参加者の承認もこなした。そこでZoomがうまくつながらないと、問い合わせが来るときはもう大パニックになる。もちろん、その都度手伝ってくれるスタッフや学生インターンも多くいる。自分がいっぱいいっぱいの時に仲間が助けてくれることは非常にうれしいことである。

 

また、質疑応答セッションもかなり労力がかかる。私は進行もしなければいけないため、違うZoomアカウントで参加する。同じ部屋にいるとハウリングが起こってしまうため、質疑応答時は必ず違う部屋に移動する。そうすると、会場の様子が分からなくなり、会場参加の質疑はまた他のスタッフにお手伝いしてもらわなければならない。何かいい方法はないかと、未だ模索中である。

 

また、講師の講演の音は聞き取りやすいが、会場全体の質問やディスカッションは聞き取りづらいと、初期のころは意見が多かった。その対策としては半径3~5mをカバーできるような会議スピーカーを買って対処した。このような会議用スピーカーもコロナ以降、便利なものがかなり多く出てきたと感じる。時代の変化である。

 

このようにして、少しずつではあるが、プラチナ勉強会は時代の流れに適したより良いものとなっていると実感している。

勉強会がなければ得られなかった「ご縁」

私は現在、出身地である福島県でも週の半分働いている。福島県立医科大学放射線健康管理学講座の坪倉正治教授の元、講座研究員という役職である。6月21日に赴任したばかりであるが、プラチナ勉強会の経験をもとに、ここでも勉強会を月1回ほど開催しなければならないと考えてきた。

 

たくさんの関係者ご協力のもと、10月14日に初めてそれは大学院セミナーという形で実現された。記念すべき第1回の講師には、元財務事務次官である佐藤慎一さんに来ていただくことができた。

 

佐藤さんは、まさにプラチナ勉強会を通して知り合ったご縁である。彼が勉強会の聴衆として参加した際、懇親会でお話しさせて頂いて仲良くなれたからこそ、今回の福島にまで繋がったのである。

 

当日、今回の勉強会がきっかけで初めて福島に来たと本人に言われた。また、福島医大側でも、元財務事務次官ほどの方がセミナーの講師としていらっしゃることは貴重であると、参加者のほとんどが勉強会に大変満足していた。

 

福島に初めて来た佐藤さんは、勉強会後の懇親会で、11月に再度福島に来てくれると約束してくれた。ここでもやはり、懇親会の大切さを実感する。お酒を交えた会合では、どんな人とも一気に仲良くなれると感じている。佐藤さんが福島と定期的に交流を図ることになったことは今回の勉強会において最大の収穫ではないかと思う。

 

このように、まだ福島に来たことがない人々を、出身地である福島につなげること。それによって互いによりよい関係を築き、化学反応を起こすこと。自分が関わることができないような分野の専門家にも積極的に出会えること。これが東京と福島の2地域で働いている私だからこそ、勉強会をやらなければいけない使命であると感じている。

 

 

趙 天辰

医療ガバナンス研究所 医療通訳士

 

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