「これを食べると病気にならない」といった根拠のない健康情報番組や、芸能人にちょっとした異常値が見つかっただけでおそろしい病気が見つかったような過剰な演出を行い、受診者の寿命が極端に短いがごとく煽動する番組など、視聴者(患者)に誤った医療知識を植え付けてしまうTV番組が後を絶ちません。今回は、愛知医科大学・内科学講座肝胆膵内科学准教授である角田圭雄氏の書籍『MBA的医療経営』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、「医療安全」を実現させるために必要なことを解説します。

 

おそらく多くの皆様が壺Ⅰを選びます。よく考えていただくと確率的にはどちらの壺を選んでも玉の色が当たる確率は同じです。しかし、不確実な壺Ⅱを選ばないのです。これを
エルスバーグのパラドックスと呼び、人は不確実性を回避しようとします。

 

統計的確率を適用できるのが「リスク」、統計的確率を適用できないのが「不確実性」と考えられます。医療においてはリスクよりも不確実な要素が大きいわけです。事前にリスクを設定することができないからです。トランプ大統領が危惧されているのはリスクが高いからではなくて、不確実性が高いからだと考えます(まるでトランプのようにどのようなカードが配られるかわからない)。

 

医療においても患者はリスクよりも不確実性を嫌うものですし、経営とは不確実な中で意思決定を行うものですが、病院経営者にもこの不確実性を嫌う方は多くいます。現状維持バイアスとともに、イノベーションを阻害します。

 

 

※本記事は連載『MBA的医療経営』を再構成したものです。

 

 

角田圭雄

愛知医科大学/内科学講座肝胆膵内科学准教授

 

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MBA的医療経営 目指せ!! メディカルエグゼクティブ

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角田 圭雄

幻冬舎メディアコンサルティング

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