「財政赤字がハイパーインフレを招く。」「国債に需要が無くなって金利が高騰する。」…このようなありふれた意見に対し、書籍『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)にて、評論家の中野剛志氏は真っ向から痛快に異を唱える。

「市場が国債を買わなくなる」の大誤解

■金利の高騰は起き得るのか

 

「財政赤字が膨張すると、政府の信認が失われて、市場が国債を買わなくなり、金利が高騰する」

 

このように主張する経済学者や経済アナリストも、数多くいます。

 

市場が「日本の財政赤字は大き過ぎて、これ以上、維持できない」と判断してしまい、誰も日本国債を買わなくなることを恐れているのです。

 

確かに、誰も国債を買わなくなったら、国債の金利は急騰します。例えば、2012年、財政危機に陥ったギリシャでは、長期金利がなんと40%を上回るほどにまで跳ね上がりました。

 

金利が急騰すれば、政府は、利払いの負担に苦しむことになります。財政赤字の拡大が金利の上昇を招くと心配する論者は、こうなるのを恐れているのです。だから、市場が、日本政府の財政破綻の心配をしないように財政赤字を削減し、政府の信認を維持しなければならないというわけです。

 

しかし、日本の政府債務の対GDP比率が上がり続け、ついに主要先進国中で「最悪」の240%近くにまで迫ったにもかかわらず、そして、経済学者も財務省も財政危機の警鐘を強く鳴らし続けているにもかかわらず、長期金利は世界で最も低い水準で推移してきました。2018年時点の長期金利は、0.03%程度しかありません。

 

つまり、日本国債は買われ続けて、引く手あまただということです。

 

これは、いったい、どういうことなのでしょうか。

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