相続というのは、プラスの財産だけを引き継ぐのではありません。被相続人の財産状態「すべて」を相続するのですから、マイナスの財産も相続することになります。 ※本記事は、青山東京法律事務所の代表弁護士・植田統氏の書籍 『きれいに死ぬための相続の話をしよう 残される家族が困らないために必要な準備』(KADOKAWA)より一部を抜粋したものです。

「借金は勘弁してくれ」少ない親戚が集ったものの…

でも、四郎さんは会社をつぶした後は、親戚から身を隠すような生活を送っていたこともあり、葬儀に出席したのは、他には三郎さんの妻の優子さんだけでした。義姉だった由美子さんは、もう鈴木家との関係は途絶えているし、甥の拓也さん、姪の静香さんには、縁が遠いので、連絡すら行きませんでした。

 

 

葬儀が終わると相続の話が始まります。

 

明子さんは、もう離婚しているので、相続人にはなりません。進一郎さんだけが四郎さんの相続人ということになります。

 

しかし、三郎さんが、明子さんに聞いてみると「あの人は、事業に失敗して借金漬けになったはずですから、借金が残っていると思います。ですから、進一郎には相続放棄をさせます」と言います。

 

三郎さんは、このときまでに相続についての知識は一通り身に付けていましたから、そうなると、今度は兄弟の自分に相続が回ってくることを知っていました。そこで、三郎さんも、進一郎さんが相続放棄の手続きをとったら、すぐに自分も相続放棄の手続きをとることにしました。

 

三郎さんは、このとき、一郎さんの遺児である拓也さん、静香さんにも相続権が発生するのではないかと思いましたが、母である葉子さんの相続のときに、この2人には煮え湯を飲まされていることから、「まあ、俺から連絡することもないか。2人に任せておけばいい」と思い、それきり、このことは忘れてしまいました。

次ページ甥と姪に届いた衝撃の手紙。「どういうこと!?」

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