白内障は、60代で約80%、80代でほぼ100%と、だれもが罹患する病気です。しかし、甘く見て放置していると、その裏で深刻な病気が進行しているケースもあるため注意が必要です。本記事では、白内障の手術を検討している人に向け、医療機関の選択基準を解説します。※本連載は、渡邊敬三氏の著書『誤差ゼロを追求する 渡邊式・白内障治療』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

選択基準③時代に合った機器・装置を導入しているか?

手術や検査に用いる機器・装置など、大型のツールについても眼内レンズと同様です。従来は不可能だった正確な検査や手術が、新しい機器・装置を導入することによって可能になる場合があります。高額なものが多いので、そう簡単には買い替えられませんが、進歩のスピードが速い白内障手術にはハード面の対応力も求められます。

 

ただ、その医療機関がどのような機器・装置を使っているかの情報は入手しにくいものです。

 

比較的分かりやすいのは、前章でも紹介したフェムトセカンドレーザー白内障手術(FLACS)を行っている場合かもしれません。これは、従来は手作業で行ってきた白内障手術のおよそ8割の部分をフェムトセカンドレーザーという特殊なレーザーを用いて行うものです。

 

レーザー照射による切開は精巧で安全性がより高く、眼内レンズを計算どおりの位置や角度に固定しやすいなどの長所があるため、私のクリニックでも導入しています。レーザー白内障手術については第5章で詳しくご説明します。

 

しかし、レーザー白内障手術の機器を導入している日本の医療機関はまだ少なく、全国でも数十カ所と普及率が低いのが実情です。そのためホームページの診療案内などに「レーザー白内障手術を行っています」と明記している医療機関が多く見受けられます。

 

そのほかの機器・装置について、採用している機種などの情報はほとんど外部に伝わってきません。

 

「そこまで詳しい違いを知りたい患者さんはいないだろう」という思いなのかもしれませんが、本書にこれから出てくる「フェムトセカンドレーザー」「ORAシステム」「イメージガイドシステムVERION」などの名称を覚えたら、訪問した医療機関で「こういうものがあると聞いたのですが」と尋ねてみてください。

 

医師がよく知らないようなら、気を付けたほうがいいと思います。導入するかしないかは別にして、少なくとも「最新の機械にはこういうものがあり、それを用いると、このような検査や治療ができる」という現状を把握しておくことは臨床医の務めといえるのではないでしょうか。そうでなければ、せっかくの白内障手術の進化を見過ごすことになります。

 

いずれにしても新しい機械類を使いこなすには、それに応じた理論と実技の習得が必要です。

 

医師は「新機能を備えた機器が開発された」という情報を聞いたら、メーカーから仕様書や説明書を取り寄せ、実物に触れてメカニズムを確認したり、先行する海外の研究論文を読んだりして安全性や有用性、用いるときの留意点などを調べます。そうしてメリットとデメリットを把握し、実際の治療に採用するかどうかを検討するのです。

導入したあとも患者さんの治療に使用する前に、入念な分析と研修を重ねて実用に備えます。

 

実はこの部分が重要で、最先端の機器・装置を導入し、さらに自分なりの改良を重ねていくことが、精度の向上につながるのです。
 

 

渡邊 敬三
南大阪アイクリニック 院長

 

 

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誤差ゼロを追求する 渡邊式・白内障治療

誤差ゼロを追求する 渡邊式・白内障治療

渡邊 敬三

幻冬舎メディアコンサルティング

手軽に白内障手術を受けられる時代だからこそ正しい知識とクリニック選びで、術後の視力は劇的に変わる! 患者一人ひとりのQOL(生活の質)の向上こそが白内障治療の最大の目的である。 「最善の白内障治療法」を日々追…

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